2012.09.26 : 平成24年第3回定例会
「下水道の浸水対策と都民の意識啓発」

六十七番(早坂義弘君)

 次に、下水道の浸水対策について伺います。
 近年、各地で集中豪雨が頻発しています。舗装が進んだ都市部で、このような集中豪雨が発生した場合、地下にしみ込まなくなった雨水が大量に下水道に流入し、内水被害をもたらすおそれがあります。
 実際、私自身も、七年前に、地元杉並区で発生した一時間に一一二ミリの集中豪雨の際、腰まで水につかる経験をいたしました。このような中、浸水被害が頻発していたJR阿佐ケ谷駅周辺において、被害を軽減させる下水道貯留管が予定を前倒しして完成いたしました。
 しかしながら、都内には、いまだ数多く浸水の不安を抱えた地域があります。例えばその一つに、昔河川であったところをそのまま下水道幹線として暗渠で使っているところが挙げられます。こういった箇所を初めとして、浸水対策の抜本的強化である下水道幹線などの施設整備なくして、都民の安全は守れません。そこで、その取り組み状況について伺います。
 一方で、施設整備には、どうしても時間がかかります。そこで、現在の施設能力を上回る降雨に対しては、都民みずからが主体的に豪雨への備えを行うことが不可欠です。そこで、浸水対策における都民の意識啓発について伺います。

〔下水道局長小川健一君登壇〕
◯下水道局長(小川健一君)

 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道の施設整備による浸水対策についてでございますが、平成十七年の集中豪雨を受け、東京都として策定した豪雨対策基本方針に基づき、下水道幹線やポンプ所の整備などに取り組んでいるところでございます。
 浸水の危険性の高い対策促進地区二十地区では、平成二十九年度までに一時間五〇ミリの降雨に対応できる施設の整備完了を目指し、昨年度までにすべての地区で着手し、五地区で対策を完了いたしました。
 また、浸水被害が発生するとその影響が大きい大規模地下街では、整備済みの新宿駅など四地区に加え、新たに東京駅丸の内口など五地区で、七五ミリの降雨に対応できる貯留施設などを整備することとし、既に渋谷駅東口で工事に着手したところでございます。
 お話の、かつて河川があった地区では、大雨で下水道幹線内の水位が上昇すると、地盤の低い箇所に雨水が逆流し、浸水被害が発生しやすくなっております。そのため、既存の幹線の下に新たに幹線を整備するなど、効果的な対策を前倒しして実施してまいります。
 具体的には、神田川流域の桃園川幹線など三流域で、今年度、新たな幹線の設計に着手します。
 次に、浸水対策の都民への意識啓発についてでございますが、浸水被害の軽減に向け、都民みずからの浸水に備える取り組みも重要であるため、降雨や浸水に関する情報提供の充実などに取り組んでいるところでございます。
 具体的には、東京アメッシュにより、降雨状況をリアルタイムにホームページや携帯電話で提供しており、昨年度は約五千万件のアクセスがございました。今年度は、急に降り出す局地的な大雨も把握できる新型レーダーへの更新に着手し、情報のさらなる精度向上を図ってまいります。
 また、下水道光ファイバーネットワークにより、下水道幹線内の水位を把握し、いち早く関係区へ提供しており、この情報は地域の水防活動に活用されているところでございます。
 さらに、六月を浸水対策強化月間とし、地下室のあるお宅を戸別訪問し、注意喚起するなど、豪雨への備えをお願いしております。このほか、浸水予想区域図の作成や区市町村のハザードマップ作成への支援を行っております。
 今後も、都民や区市町村との連携を強め、ハード、ソフトの両面から、浸水対策の充実に全力を挙げてまいります。