2012.10.05 : 平成24年防災対策特別委員会
「南海トラフ巨大地震(島しょ地域における津波対策)」

早坂委員 

 ところで、本年八月に内閣府が発表した南海トラフ巨大地震、すなわち東海、東南海、南海の三連動地震の新たな被害想定では、全国の最大死者は三十二万三千人とされています。東京都の島しょ地区においては、最大震度五強、二十メートルを超える津波が短時間で発生する可能性が指摘されています。
 国によれば、この地震、そして津波の発生頻度は極めて低く、また発生時期を予測することは非常に困難であるとされていますが、いつ来るとも知れない大津波に対して、ふだんから十分な備えをしておくことが必要です。
 東京都では、この十一月に神津島で総合防災訓練を行う予定です。今回の国の被害想定では、神津島の津波の高さは二十四メートルと推定されています。住民を迅速に高台に避難させるためには、事前の十分な訓練が必要です。
 そこで、東京都は、この神津島での訓練を住民参加による実践的なものにすべきと考えます。ご見解を伺います。

◯笠井総務局長

 島しょ地域における津波対策の推進は喫緊の課題であり、都では、来月、神津島村と合同で総合防災訓練を実施いたします。
 この訓練では、地震の発生により短時間で到来する津波を想定し、速やかな高台への住民避難や、自衛隊、警察、消防による救出救助などを予定しております。
 この訓練による成果と課題を検証し、その内容を、神津島村による新たな避難計画の策定や、今後、順次行う予定の他の島の総合防災訓練に生かしてまいります。

早坂委員

 国による南海トラフの被害想定においては、最大津波高などは示されているものの、人的被害や建物被害については、都道府県別の数値までしか示されておりません。例えば、津波による東京都内の死者は一千五百人とされたものの、それが都内のどこで発生する被害なのかは非公表であります。今後、東京都の防災対策につなげるためには、より詳細な想定が必要です。
 このような状況を踏まえ、東京都は、南海トラフに関する独自の被害想定の検討に着手しました。今後の取り組みについて伺います。

◯笠井総務局長

 津波を想定した島しょの防災対策を推進していくためには、都として、南海トラフに関する独自の被害想定を行うなど、島の実情を踏まえた検証を行う必要があります。
 先日、開催されました地震部会でも、島の実態に適した被害想定手法を検討すべきといった、各島の状況を考慮した議論がなされたところであります。
 今後、島ごとの最大の被害像の把握を目的に、地震断層モデルや津波断層モデルを設定いたします。さらに、島内における一棟ごとの建物データに基づいた詳細な検証を進め、来年春を目途に、都独自の被害想定を取りまとめてまいります。