2012.05.28 : 平成24年防災対策特別委員会
「津波」

早坂委員 

 先日発表された首都直下地震等による東京の被害想定報告書では、前回平成十八年の被害想定では含まれていなかった津波に関する想定が新たに追加されました。
 区部の防潮堤がTP三・五メートルから六・九メートルで建設されているのに対し、区部の津波想定は最大二・六メートルで、基本的に防潮堤を越えないとのことであります。
 しかし、自然災害に絶対はありません。堤防の耐震化などハード面の整備や、万が一の浸水に備えた避難というソフト面の対策の両者において、万全の備えが必要です。
 一方で、島しょ部の津波想定については、御蔵島で最大二十二・四メートルなど非常に高くなっています。これだけ高い津波であれば、ハード面の整備だけでは物理的にも時間的にも限界があり、実効ある具体的な対策を進めなければ都民の命を守ることができません。
 厳しい被害想定を踏まえ、東京都の島しょ部における津波対策について伺います。

◯笠井総務局長

 都はこれまでも、島しょ部における対策として、津波軽減効果を持つ港湾や護岸の整備などを着実に推進してまいりましたが、今回の想定において、多くの島で、これまでの想定を超える高い津波高が算出されました。
 委員ご指摘のとおり、ハードの整備には長期間を要し、また、ハード対策のみでは対応が困難な状況もあることから、ハザードマップの作成支援や地元町村と協力した避難誘導の仕組みづくりといった即効性のあるソフト対策をハード対策に組み合わせて、島しょ地域の防災力の向上を図ってまいります。

早坂委員

 今回の東京都の被害想定とは別に、内閣府も、本年三月、東京都の島しょ部での津波推計を発表しました。それによると、新島で二十九・七メートルと、東京都の想定よりもさらに高い結果が出ています。これは、東京都が相模トラフ、すなわち関東大震災、内閣府は南海トラフ、すなわち東海、東南海、南海地震と、対象となる地震や震源が異なるためです。
 国の報告書にあるとおり、この結果は、次に起きる地震津波の想定ではなく、あくまで、発生確率は低いけれども、もし発生すれば甚大な被害をもたらす最大級の津波に相当するものです。
 とはいえ、一千年に一度といわれる東日本大震災の被害を受けた今日、東京都は、南海トラフの巨大地震も視野に入れた対策を講ずべきと考えます。ご見解を伺います。

◯笠井総務局長

 今回の都の被害想定では、過去に東京湾内に最大の津波をもたらしたとされる相模トラフの元禄型関東地震を対象に検証を行いました。
 一方、国におきましては、先日、津波高等が公表された、南海トラフの巨大地震にかかわる被害想定を六月に公表する予定でございます。
 南海トラフによる地震と相模トラフによる地震では、島しょ部に押し寄せる津波の高さや方向が異なります。このため、今後、国による被害想定を踏まえ、各島の地形の状況や双方の地震で想定される津波の特性などを考慮し、ハード、ソフトの両面にわたり、島しょの津波対策に取り組んでまいります。