2012.10.05 : 平成24年防災対策特別委員会
「原則自己負担なしの耐震診断助成制度(緊急輸送道路沿道建築物の耐震化 その2)」

早坂委員 

 さて、東日本大震災では、津波によって道路や鉄道が失われ、応急活動や物資の輸送が滞ったことは記憶に新しいところです。一方、東京に大地震が起これば、旧耐震基準の建築物が倒壊することにより緊急輸送道路が遮断され、被害が拡大し、国内外に多大な影響を及ぼしかねません。
 こうした中、昨年、東京都は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた耐震化推進条例を制定いたしました。その内容は三つです。第一に、これまで耐震診断を行ったことがあるかどうかの報告書と、その診断結果提出を義務づけること、第二に、その上で、必要なものに対して耐震診断を義務づける、その際、原則として建物所有者の自己負担なしというのが、この政策の目玉です。第三に、その結果報告書に基づき、耐震工事や建てかえに努力をしてもらうということであります。
 この原則自己負担なしの耐震診断助成制度は、平成二十三年度から二十五年度までの三年間となっています。義務化が施行されてから半年が経過をいたしましたが、今日の状況とその評価に対してご見解を伺います。

◯飯尾都市整備局長

 耐震診断助成につきましては、八月末までに、昨年度の実績の十倍を超える約千百件の申請がございまして、条例制定の効果と所有者に対する戸別訪問などの取り組みの成果があらわれているものと認識しております。
 また、設計、改修助成も昨年度に比べて大きく増加しておりまして、耐震性能が明らかになることによって、所有者の主体的な取り組みに結びついているものと考えております。
 一方、今後の進め方がわからない、相談できる専門家がいないといった所有者の声もあり、引き続き丁寧な対応を行っていく必要があると認識しております。
 耐震化を一刻も早く完了するためには、診断結果を設計や改修工事に確実かつ速やかにつなげていくことが重要でございまして、今後とも、条例に基づく施策や助成制度などの支援策を、区市町村とも連携して強力に進めてまいります。

早坂委員

 耐震診断の実績は大幅に増加しているとのご答弁でありましたが、診断をどんなに行っても建物は強くなりません。それを耐震工事や建てかえにつなげることこそが今後の課題であります。
 また、診断受診にしても、耐震性が乏しいと予想される、とりわけ脆弱な建物所有者は、最後まで受診に二の足を踏むだろうと思います。受診率向上には、これからが本番だろうと思います。
 沿道建築物の状況は一つ一つ異なり、補強設計や改修工事といった所有者の具体的な取り組みを促すには、行政の取り組みに加えて、民間の技術やノウハウを最大限に生かしていくことが重要です。
 東京都は、我が党の提案を受け、建築士や建築業の団体と協定を結びましたが、今後どのように連携して取り組んでいくのか伺います。

◯飯尾都市整備局長

 耐震化を円滑に進めてまいりますためには、民間のすぐれた技術力や豊富な実績を生かしていくことは、ご指摘のとおり大変重要でございます。
 このため、昨年には建築士の団体と、ことしの七月には建設業の団体とそれぞれ協定を締結いたしまして、耐震化の一層の促進に向けて、相互に協力、連携した取り組みを開始したところでございます。
 診断の実績が上がるにつれまして相談もふえておりまして、十月一日には、建設業の団体と連携いたしまして、さまざまな改修工法や実績のある施工業者を紹介する新たな相談窓口を開設したところでございます。
 都としては、こうした窓口を積極的に周知するとともに、関係団体との連携を深め、沿道建築物の耐震化に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。