2012.10.05 : 平成24年防災対策特別委員会
「都立学校の宿泊防災訓練」

早坂委員 

 ところで、今年度からすべての都立学校で実施している一泊二日の宿泊防災訓練は、実践的な防災教育として全国的にも高い関心を集めています。
 もとより学校教育とは、単に知識を身につけるだけのものではありません。どんな状況にあっても、みずからたくましく生きていく力を身につけ、家族や地域に貢献できる力を養うことにこそ、その目的があります。
 東日本大震災において、岩手県釜石市では、一千人を超える死者、行方不明者が発生いたしましたが、その中で、小中学生の犠牲者はわずか五人でありました。このことは、釜石の奇跡としてよく知られています。
 ある中学生のグループは、みずから率先して避難し、さらに、小学生の手を引き、あるいは幼児の乗るベビーカーを押して津波から避難しました。釜石の中学生たちは、単に助けてもらうだけの存在ではなく、みずから率先して危険を回避し、さらに、自分より弱い立場にある人を助ける側に回ったのです。
 今後、東京で大災害が発生した場合に、みずからの身を守り、ともに助け合うことが重要であり、高校生にもさまざまな役割を果たしていただくことが期待されています。
 そこで、一泊二日の宿泊防災訓練を、今後どのように改善、充実させていくのか伺います。

◯比留間教育長

 一泊二日の宿泊防災訓練は、災害発生時、自分の命を守り、身近な人を助け、さらに避難所の運営など地域に貢献できる人間を育てることを目的として、すべての都立高校で実施をしております。
 この訓練では、首都直下地震などを想定し、消防、警察、自衛隊等と連携した初期消火訓練やAEDを用いた応急救護訓練、備蓄食準備訓練や体育館での就寝訓練などを行い、緊急時の心構えや対処について学んでおります。
 今後は、学校が立地する地域の特性や実態を踏まえ、避難所等の運営補助訓練や、東京防災隣組を初めとする地域の関係団体と連携した訓練を取り入れるなど、防災活動の一端を担う意識と実践力をより高める内容となるよう、一層の改善、充実を図ってまいります。