2008.9.26 : 平成20年第3回定例会(第13号)
「新型インフルエンザ対策」

早坂委員

 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 昨日の我が党代表質問に対し、新型インフルエンザ緊急対策の三つの柱として、社会機能の維持、保健医療体制の整備、都民、事業者への意識啓発の推進とのご答弁がありました。
 国は、新型インフルエンザが発生した最悪の場合には、我が国全人口の二五%が感染し、六十四万人が死亡すると推定しています。これは、過去に我が国で発生した弱毒性のスペイン風邪をモデルにしたものです。しかしながら、今日議論されている新型インフルエンザは強毒性の可能性も指摘されており、ここから既に国の認識の甘さがうかがえます。
 新型インフルエンザの脅威から国民を守るのは、国家安全保障上の国の責務です。しかしながら、罹患した患者と直接向き合うのも、そして、恐怖におびえる市民と対峙するのも、結局は現場の自治体、つまり我々です。一千二百万都民の安全を守ることは、東京都政を担う石原知事、そして、我々議会の最大の責務です。直面する危機に鈍感な国に先んじて、想像し得るさまざまな手だてを講じておかなければなりません。
 今回の八十八億円の補正予算では、タミフル、リレンザなどの医薬品の備蓄を、東京都独自に大幅に強化することなどが提案されています。このことは、我が党の提案を受けた迅速な取り組みであり、都民にとって大きなニュースです。
 医薬品の備蓄を前提とすれば、患者をどう診察するかという医療体制の確保が大変重要な課題になります。東京都は、封じ込め対策として、既に発熱センターや感染症指定医療機関などの整備を進めていますし、本定例会では、医療関係者用の個人防護服五十万着の購入についての議案が提出されています。
 しかしながら、新型インフルエンザは感染力が非常に強いと考えられますから、パンデミック、感染爆発期の医療機関には、患者に加えて、不安に駆られた人々が殺到することが想定されます。
 また、病院内での感染防止のためには、患者の動線や患者同士の間隔にも十分な配慮が必要です。ベッドがあいていても、ほかの患者に簡単に感染しかねませんから、すぐ入院というわけにはいきません。トイレは同じところを使うのか、二日に一回透析が必要な腎臓病患者への対策はどうするのか、防護服はどこで着用してどこで脱ぐのか。パンデミック期に起こるであろうさまざまな状況を想定しながら、すべての医療機関が新型インフルエンザ対策に取り組んでいく必要があります。
 東京都としても、すべての医療機関がこうした準備を進められるよう、積極的に支援すべきと考えます。ご見解を伺います。
 新型インフルエンザがパンデミック期に入った場合には、電力、ガスなどのライフライン企業や食品販売の事業者などにも感染が広がり、毎日の生活に最低限必要な事業の継続すら困難になることが予想されます。他方、感染防止のために、学校閉鎖や交通機関をとめる、空港や港の閉鎖、外出禁止令などの思い切った対策が必要な場面も想定されます。
 つまり、社会活動の維持と規制という相反するものが同時に要求されますが、それはもとより、可能な限り感染拡大を防止し、健康被害を最小限にとどめ、しかも社会機能を破綻に至らせないためであります。
 しかしながら、こういった事態に対しての国の対策は、法整備を初めマニュアルの整備や関係者の訓練など、著しくおくれています。
 新型インフルエンザ発生という危機が目前に迫っています。東京都は何ができるか、何をすべきか、今後の対策に関して伺います。

〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
〇福祉保健局長(安藤立美君)
 新型インフルエンザ対策についてお答えいたします。
 新型インフルエンザの発生時に医療体制を確保するためには、すべての医療機関が適切な診療を行えるよう、十分な事前の準備を進めておくことが重要でございます。
 このため、都は、本年七月から九月にかけて、都内全域の医療機関を対象に講習会を開催いたしまして、事前の体制整備について周知を図ったところであります。
 また、現在、都内十のブロックにおいて、保健所、区市町村、医療機関等とともに、発生段階に応じて担う具体的な役割と連携策等を協議しております。
 今後、こうした協議の内容も踏まえながら、大規模流行期の医療体制の確保に向けまして、医療機関における個人防護具や医療資機材の備蓄、診療に必要な施設整備などに対します新たな支援策について検討してまいります。

〔総務局長中田清己君登壇〕
〇総務局長(中田清己君)
 新型インフルエンザ発生時におけます社会活動についてお答えさせていただきます。
 大規模流行期には、外出や事業活動の制限と、都民生活に必要な事業の継続を同時に行う必要がございます。感染拡大を防止するためには、社会活動の規制が不可欠でございます。
 このため、国に法整備等を早急に講じるよう強く求めることに加えまして、都独自の対応策について検討してまいります。
 また、事業継続計画でございますBCPを都みずから策定するとともに、区市町村や事業者に対して、感染予防策の徹底やBCPの策定を支援するなど、都民生活を守り、社会経済機能の確保に努めてまいります。