2005.11.28 : 平成17年厚生委員会 本文
「精神障害者通院医療費の公費助成」

早坂委員 

 現在、精神保健福祉法第三十二条によって、精神障害者の通院に係る費用については公費で助成する制度があります。この精神障害者通院医療費公費助成制度とはどのような制度なのか、また、対象者の推移はどのようになっているのかをお伺いいたします。

◯吉岡障害者施策推進部長 

 精神障害者通院医療費公費負担制度は、精神保健法第三十二条に基づき、精神疾患に係る通院医療費に必要な費用のうち、各種保険を適用した上で、百分の九十五に相当する額を公費で負担し、本人負担を五%に軽減する制度でございます。
 対象者数は、平成十六年度末におきまして約十一万一千人となっており、これは平成十二年度末と比較して四年間で約二万五千人増加をしている状況でございます。

早坂委員 

 精神障害者の医療費負担を軽減するこの制度は、来年四月からは、新たに施行される障害者自立支援法の中に位置づけられ、制度設計も見直すこととされています。具体的に現行制度とどのように変わるのかをお伺いいたします。

◯吉岡障害者施策推進部長 

 障害者自立支援法における自立支援医療では、精神障害者の通院医療費について、医療費のみに着目した応益負担から、医療費と所得の双方に着目した負担といたします。また、公費負担の割合を百分の九十五から百分の九十に変更いたします。
 ただし、所得の低い方に対しては月額負担上限を設定するとともに、継続的に相当額の医療費が発生する重度かつ継続の対象者に対しましては、中間所得層以上の人にも月額負担上限を設定するなど、利用者負担について配慮した制度とするよう国も検討していると聞いております。

早坂委員 

 この陳情された方のご意見を拝見すると、自己負担がふえることによって、精神障害者が通院、投薬を受けずに病状が悪化することを懸念されているように思います。このことについて東京都はどのようにお考えか、ご見解をお伺いいたします。

◯吉岡障害者施策推進部長 

 精神障害者が地域で自立して生活していくためには、医療の継続が極めて重要なことでございます。このため、医療の中断につながることのないように、低所得の方には一定の負担軽減措置を設ける必要があると考えております。国の自立支援医療におきましても、所得に応じた月額負担上限を設けており、低所得者に配慮した制度設計となっております。
 さらに、東京都といたしましても、低所得の世帯に対する、自己負担分を東京都が独自に軽減することを検討しております。これらの対応によりまして、低所得者への配慮は十分なされているものと考えております。

早坂委員 

 精神障害者を医療につなげることは、本人の病状を安定させるために、また健全な社会をつくっていくためにも重要なことだと考えます。今後とも、対象者が増加することが予想される精神障害者通院医療費公費負担制度を、将来的に安定的に運営していく仕組みをつくっていかなければならず、そのためにはサービスを利用する人にも応分の負担をお願いして、皆で制度を支えていくことが求められます。陳情された方がいわれるような自己負担分を全額助成するといったようなことは、今後の制度運営を考えると、行うべきではないと考えます。
 しかし、その一方で、低所得者には、医療の中断につながることのないよう、一定の負担軽減措置を設ける必要があることから、国は所得に応じた月額負担上限を設けることとしております。さらに、東京都は低所得者には独自の負担軽減措置を検討しているということなので、陳情された方々が懸念されるようなことはないものと考えます。国の負担軽減措置は今後正式に示されるものですし、東京都独自の負担軽減措置についても検討中ということですので、今回の陳情につきましては、現段階では継続の取り扱いにすべきものと考えます。
 以上です。