2006.03.20 : 平成18年厚生委員会 本文
「花粉症対策」

早坂委員 

 まずは、花粉症対策についてお伺いいたします。
 昨年は、杉、ヒノキの花粉が大量に飛散し、東京都の観測史上最高となりました。ことしは昨年に比べ飛散量は少ないようですが、花粉シーズンを迎え、マスクをして町を歩いている方を多く見かけますし、また、この部屋にもいらっしゃいます。
 先月、生活文化局が発表した都政モニターアンケートでは、特に実施してほしい花粉症対策として、六割近くの方が、スギ花粉症の根本的な治療方法の研究開発を挙げています。東京都民は根本的な治療法の完成を強く待ち望んでいます。
 現在、一般的には、症状を軽くするために薬を服用するなどの対症療法が行われているようです。また、根本治療法の減感作療法があり、これを受ければ治る可能性もありますが、余り普及していないとも聞いています。
 減感作療法とはどのような治療法で、なぜ普及していないのか、まずお伺いいたします。

◯牛島参事 

 花粉症の根本治療法として現在行われております減感作療法は、スギ花粉エキスを皮下注射し、徐々に体を花粉にならして、アレルギー症状が出ないように体質を改善する治療法でございます。
 しかし、二年以上通院して定期的に注射を受ける必要があるなど、患者さんの負担が大きいこと、この治療法を行っているのが大学病院などの一部の医療機関であること、また、治療を受けても二、三割の方は改善効果が見られないことなどの理由から普及が進んでおりません。

早坂委員

 注射による減感作療法は、患者さんにとってなかなか負担が大きいようです。東京都は、来年度の重点事業で取り組むこととしている総合的花粉症対策の中で、新たな治療法である舌下減感作療法の臨床研究を進めるとしていますが、どのような取り組みを行うのか、お伺いいたします。

◯牛島参事 

 舌下減感作療法は、スギ花粉エキスを垂らした食パンを舌下、口の中の舌の下ですけれども、舌下に置き、粘膜から花粉エキスを体内に吸収させる方法です。この治療法は自宅でも実施できるため、通院する回数が少なくて済むなどのメリットがありますが、日本ではまだ実用化に至っておりません。
 そのため、都では、臨床医学総合研究所や都立病院などの協力を得て、舌下減感作療法の臨床研究を行い、早期に実用化できるよう取り組んでまいります。

早坂委員

 このような新しい治療法が普及し、身近な医療機関で気軽に根本治療が受けられるようになれば、長年花粉症に悩んできた方にとっては大変な朗報であります。ぜひ積極的に臨床研究を進めるようお願いいたします。
 治療対策と並んで重要なのは予防であります。現在、花粉症に悩んでいる人は、シーズン中なるべく症状を悪化させないために、天気予報のように毎日の花粉情報を見ながら、マスクや眼鏡など予防策をとっていると思います。
 東京都では、ホームページやテレホンサービスなどで、毎日の花粉測定結果や予報を都民に情報提供していますが、より適切かつ有効な予防策をとるためには、さらにきめ細かく情報を伝えることが必要だと考えます。今後の方策についてお伺いいたします。

◯牛島参事 

 都は現在、飛散した花粉の量を顕微鏡で見て計測し、公表しております。予報は、区部と多摩地域の別に一日単位で行っています。今後、花粉自動測定装置を設置して、測定結果を迅速に提供するとともに、地域別に時間単位で予報が行えるシステムの開発を行います。これによりまして、きめ細かでタイムリーな情報の提供を行い、飛散の多いときに注意報や警報などで注意喚起をすることも可能になります。こうした情報を活用して、都民の方々に適切な予防行動をとっていただくよう呼びかけてまいります。

早坂委員

 花粉症の予防、治療対策の推進は都民の期待が大変高いものであります。東京都議会では、花粉症対策議員連盟の設置に向け、現在努力中であります。今後も積極的に花粉症対策を進めていただくようお願いいたします。