2010.11.24 : 平成22年厚生委員会
「被爆二世」

早坂委員 

 「被爆者の子」(被爆二世)の医療費助成に関する請願について伺います。
 ことしは、広島と長崎に原爆が投下されてから六十五年目に当たります。被爆者のうち、およそ七千人が現在、東京都内にお住まいで、平均年齢は七十五歳を超えています。国の原爆関係の援護施策には、被爆者健康手帳の交付や各種手当の支給などあります。
 また、医療費に関して、健康手帳を持っている被爆者本人に対して医療費助成が行われています。
 一方で、本請願にあります被爆者の子ども、いわゆる被爆二世に対しては、国の施策として医療費助成制度はなく、都道府県に対して健康調査の委託をしているのみであります。
 東京都では、昭和五十一年から、被爆二世の皆さんに対して医療費助成を実施しています。では、東京都以外の自治体で医療費助成の実施状況はどのようになっているのか、伺います。

◯住友保健政策部長 

 現在、東京都以外で被爆二世の医療費助成を実施しているのは、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市、それと大阪府摂津市、吹田市の一県五市でございます。

早坂委員

 全国的にも医療費助成を実施している地域は極めて少ないようです。今回の請願の趣旨は、医療費助成の更新手続を緩和してほしいとのことでありますが、その一つの方法として、更新期間の延長を──先ほどのご説明では、東京都では更新期間は一年間とのことですが、請願者である東友会からは、神奈川県では更新手続は必要ないとお聞きしております。東京都以外で医療費助成を実施している自治体、一県五市ではどのような取り扱いになっているのか、伺います。

◯住友保健政策部長 

 都では、認定された方に対して医療券を交付しておりまして、受診の際に医療機関の窓口で医療券を提示すれば、原則として自己負担分を支払う必要はない、いわゆる現物給付という方式で医療費助成を行っております。
 一方で、都以外の県、市では医療券の交付は行っておらず、受診時には医療機関の窓口で患者一部負担を一たん支払っていただきます。後日、県、市に対して直接請求して払い戻しを受ける、いわゆる償還払いという方式をとっております。
 したがいまして、都のような認定期間という考え方はございませんが、医療機関の窓口で自己負担分を支払う都度、医療機関に支払い証明書を交付してもらい、自治体に対して費用を請求するという手間が生じることになります。

早坂委員

 東京都以外は償還払い方式とのことですが、償還払いは患者さん自身が一度、自己負担分を立てかえて支払わなければなりませんし、払い戻されるまで、少なくとも一、二カ月はかかります。東京都が行っている窓口負担のない現物給付の方が患者さんにとって明らかに利便性が高いゆえに、認定された方に対して医療券を交付する現在のやり方を今後も続けるべきと考えます。
 多くの医療費助成制度では、認定期間を定めて医療券を発行しているように思いますが、現在、東京都が実施している医療費助成制度のうち、認定期間をなくして、一度認定したら最後まで更新の必要がないという制度はあるのか伺います。

◯住友保健政策部長 

 難病医療費助成、小児慢性疾患、心身障害者医療費助成制度など、多くの制度は認定期間が一年間ですが、大気汚染医療費助成制度は認定期間が二年間となっております。
 都が実施している医療費助成制度で、認定が無期限という制度はございません。

早坂委員

 被爆二世の医療費助成以外の制度でも一定の期間を区切って認定しているとのことですが、これは助成対象者をきちんと管理し、適正な助成を行うために必要なことだと考えます。
 例えば、都外に転出されれば東京都の医療費助成制度は当然使えなくなりますが、助成対象でなくなった方が医療券をいつまでも所持しているのは好ましいことではありません。
 また、仮にその方が死亡した場合でも、その医療券自体は残ることになります。もちろんそのような状況になれば医療券は使えませんので、医療費の請求は上がってくることはなく、実害はありませんが、一方で、事業主体である東京都には登録者がどんどん膨らみ、一体何人の方が医療費助成の対象なのか、人数の把握ができないことになってしまいます。事業の管理上、医療券の期限を廃止することが好ましいこととはいえません。
 しかし、大気汚染の医療費助成については二年間の認定期間ということですから、この制度に倣って、認定期間を延長することは可能ではないのかと思います。そうすれば、更新のたびに主治医に診断書を書いてもらう手間も少なくなり、被爆二世の負担はかなり軽減されることになります。
 したがって、今後、認定期間を延長すべきと考えますが、ご見解を伺います。その場合、いつごろから延長が可能なのか、その見通しについてもあわせて伺います。

◯住友保健政策部長 

 医療費助成の実施に当たりましては、今、委員からご指摘のとおり、疾病が治癒すること、あるいは、対象者が死亡することなどもあることから、認定期間を設けることは必要であると考えております。
 しかし、被爆者二世の医療費助成につきましては、十一障害を伴う疾患であり、慢性に経過することが多いなどの特性を踏まえて、認定期間の延長も考慮する必要があると考えております。
 なお、被爆二世の医療費助成の認定期間の延長に当たりましては、東京都で実施している医療費助成制度の医療費の支払い等の事務を一括管理しております医療費助成事務システムの改修等が必要になりますことから、認定期間、実施時期等につきましては、今後、検討を進めてまいります。

早坂委員

 東京都の医療券の登録をしている被爆二世は、およそ六千人です。ぜひ認定期間の延長を早急に検討していただくようお願いをいたします。