2005.10.20 : 平成17年厚生委員会 本文
「豊島病院の区移管」

早坂委員 

 豊島病院の板橋区移管に関しては、平成十五年十一月に板橋区長から、豊島病院の区立病院化実現に向けた検討に関する要望書を受けて、昨年春以来検討がなされ、この九月には協議会の最終のまとめが提出をされました。一年半という長期間にわたって協議を重ねてまいりましたが、このポイントは、建物、建築物などの移管に伴う負担額について年間十億円以上の開きがあるなど、財政面で折り合いがつかなかったということだと思います。豊島病院が都民の貴重な財産であり、病院事業が企業会計で運営されているということから、こうしたまとめにならざるを得なかったこと自体は理解ができます。今回、資産譲渡など意見の一致が見られない点は、両論を併記し、協議会としては移管に関する結論を出していない状況でありますが、このように考え方に大きな乖離がある状況では、十八年の移管はおろか、板橋区への移管自体、大変困難になっていると考えざるを得ません。
 板橋区移管に関して東京都としての結論をどうするつもりか、お伺いいたします。

◯奥田経営企画部長 

 厳しい状況であるのは確かでございますが、そもそも板橋区のご希望、ご要望を受けての協議でもございまして、区の最終判断を待って都としての判断をしていきたいというふうに考えております。

早坂委員 

 区立病院化が困難になりつつある中で、今後のことに関連して何点かお伺いいたします。
 まず、マスタープランでは、それぞれの病院が果たしている役割を踏まえつつ類型化をしていますが、この地域病院とはどのような病院を指すのか、ご答弁をお願いします。

◯奥田経営企画部長 

 地域病院でございますが、来院患者の居住地が病院の近隣地域に集中しているなど、地域性が高く、地域の医療機関と緊密な連携をとりながら、かかりつけ医の支援等を行い、地域医療の充実を図ることを目的として、主として二次医療を提供する病院であるというふうに考えております。

早坂委員 

 そうした観点でこの豊島病院を見ると、紹介率も約六〇%であり、入院、外来とも大半が板橋区民であるという実態がありますから、まさに地域病院とするにふさわしい病院であると私は考えます。
 地域医療を充実するためには、地域の中核的病院である地域病院の重要性はいうまでもありませんが、そのためには、地域の中のさまざまな医療機関が有効に連携し、かつ機能していかなければなりません。地域医療充実のためには行政の役割が大切でありますが、中でも基礎的自治体である区市町村の役割が大きいものと考えますが、いかがでしょうか。

◯奥田経営企画部長 

 プライマリーケアだけではなくて、一般的な入院医療を含む住民に身近な地域医療の確保については、基礎的自治体である区市町村の主体的な取り組みが基本とされておりまして、区市町村の役割は大変大きいというふうに考えております。

早坂委員 

 今回の移管に関する協議に向けては、板橋区も、こうした認識に基づいて意欲を持って取り組んできたはずだと思います。区立病院化についての協議は、その意味でも非常に意義ある取り組みであったと考えます。事実、板橋区はこの間、平成十六年六月に独自に、板橋区の医師会の医師も交えた病院検討委員会を設置し、区立病院となった場合にどのような医療を目指していくのかを具体的に検討したと聞いています。
 そこで、確認のためにお伺いいたしますが、板橋区は区立病院としてどのような病院を目指していたのでしょうか。

◯奥田経営企画部長 

 ただいまお話のございました検討委員会の報告書に基本方針というものがございますが、基本方針といたしましては、地域医療の中核的病院を目指す、それから、小児医療、リハビリテーション医療を重点医療として取り組んでいく、二十四時間三百六十五日の二次救急医療を確保する、医療と保健福祉施策との連携を積極的に進める、健康危機発生時や災害時の拠点病院としての役割を担うなどが掲げられておりまして、区民福祉の向上に貢献できる区立病院を目指すこととしております。

早坂委員 

 今お聞きした板橋区の考え方は、地域医療を充実するためにはそれぞれが重要な視点であると私は考えます。豊島病院の板橋区移管が白紙に戻るようなことがあった場合でも、板橋区がこれまで具体的に検討してきた内容を、板橋区とも協議しながら、豊島病院の運営の中に生かしていくことが求められるのではないかと思います。
 そこでお伺いいたします。今後、豊島病院のあり方の検討に際しては、東京都として板橋区の動きをどのように受けとめていくおつもりでしょうか。

◯奥田経営企画部長 

 豊島病院が地域において果たしている役割の大きさを考えるときに、地域医療の充実に第一義的に責任を持つ板橋区との関係が大変重要であるというふうに考えております。その意味でも、今回、区が検討してきた区立病院構想の重みは十分認識しておりまして、今後の豊島病院のあり方に関しては、こうした板橋区の取り組みを踏まえて検討していく考えでございます。

早坂委員 

 地域医療の一層の充実という観点を忘れることなく、これまでの板橋区との協議内容や板橋区が検討してきた区立病院構想にも十分配慮して、豊島病院が地域の中核病院としての役割を継続して果たしていけるような取り組みを要望いたします。
 これで質問を終わります。