2010.03.18 :平成22年厚生委員会
「都立病院の療養環境」

早坂委員

 都立病院における療養環境について伺います。
 インターネットの普及などにより、さまざまな情報を容易に入手することができるようになり、医療内容だけではなく、療養環境や費用まで含めて病院間の比較を行った上で病院を選ぶ時代になっています。都立病院の再編整備事業については、医療環境の変化に適切に対応しながら、病院機能を維持することはもちろんのこと、将来にわたって都民の期待にこたえ得るよう、高い水準の病院を実現していくことが必要であります。
 行政的医療の安定的供給を使命とする都立病院が都民から選ばれる病院であり続けるためには、再編整備事業が、医療機能の面だけでなく、療養環境や患者サービスの面でも、その充実強化を図るものでなければなりません。特に入院については、さまざまな不安を抱えながら、日常とは異なった病院という空間で療養しなければならないことから、その環境整備を図っていかなければなりません。
 昨年、私は、多摩総合医療センター、小児総合医療センターを視察いたしました。そのときの印象としては、空間的にゆったりとしており、また庭園もあり、落ちついた雰囲気で患者さんが入院生活を送ることができることを確信いたしました。
 そこで伺いますが、今回、再編整備を行った病院では、入院環境がどのように改善されたのでしょうか。

〇牛島サービス推進部長 

 入院環境につきましては、入院中の大半を過ごす病室の見直しを図りまして、今まで主に六人部屋であったものを四人部屋に変更しております。また、院内に広い休憩スペースを設けて、患者さんや面会の方がゆったりくつろげる空間を確保するなど、療養環境を整備いたしました。さらに、患者さんの気分転換や、ご家族などとのくつろぎの場として利用していただけるように、売店、レストラン、カフェなどの院内利用施設につきましても充実を図りました。

早坂委員

 病室には、一般の病室のほかに個室もあります。以前は一般の病室を利用することが当然のことであったと思われますが、近年では、プライバシーを気にされたり、入院中であっても少しでもリラックスしたいという気持ちの方がふえるなど、患者さんやご家族の意識も変わってきています。事実、私の周りにも、一定の金額を負担してでも個室を希望する方がふえています。
 今回の再編整備によって、こういった有料の個室の数はふえたのでしょうか。また、他の公立病院の状況はどのようになっているか、伺います。

〇牛島サービス推進部長 

 患者さんのご希望により利用していただきます、いわゆる有料個室についてでございますけれども、今回の再編整備によって、多様なニーズにこたえるために有料個室の数をふやしました。この結果、都立病院の病床数に対する有料個室の割合は、平成二十一年度当初の八・三%から平成二十二年度当初は九・五%となりました。また、他の公立病院の状況についてでございますが、総務省自治財政局発行の地方公営企業年鑑に全国の都道府県立病院の全病床数に対する有料個室の割合が示されておりまして、直近では平成十九年度が九・九%でございます。

早坂委員

 再編整備事業により、患者さんの多様なニーズにこたえるため、有料個室の数が全国水準までふえたことは大変結構だと思います。しかし、気になるのが、その料金であります。使用料が高額であると、個室を利用したくても利用できない人も出てまいりますから、必ずしもニーズにこたえているとはいえません。
 さきの厚生委員会において、この個室使用料について条例改正の提案がありました。その内容は、再編整備に伴って、これまでより広い個室を整備したため、個室使用料の上限額を改めるとの説明でありましたが、これまでの上限額である一万八千円を上回る有料個室は幾つできたのでしょうか。また、新しい上限額の二万八千円の有料個室とは具体的にはどのような部屋なのか、伺います。

〇牛島サービス推進部長

 これまでの上限額を上回る有料個室は、多摩総合医療センターで三室、駒込病院で四室、合わせて七室を整備することにしております。また、上限額の二万八千円の設定を予定しております個室は、多摩総合医療センターの二室でございます。いずれも現行の上限額である個室の約二倍の面積で三十平方メートル程度ございます。そして、トイレとシャワーまたはバスのついた産婦人科の個室でございます。
 都立病院の個室使用料は、主にその占有面積をもとに算定しておりまして、今回の条例改正は、これまでより広い個室に見合った使用料を新たに設定するためのものでございます。なお、既存の病院の個室使用料については現行どおりでございます。

早坂委員

 有料個室については、さまざまなニーズに対応するためには、数だけの問題ではなく、今回のような広い部屋を用意することも必要であると考えます。出産に当たっては家族の立ち会いを希望する方もふえており、周りを気にせず家族で過ごせる広い部屋のニーズは高いと思います。
 ところで、個室については、患者さんが希望する場合だけでなく、治療上の必要などから個室を利用する場合もありますが、このような場合でも、患者さんは個室使用料を支払わなければならないのでしょうか。

〇牛島サービス推進部長

 個室使用料の徴収につきましては、法令で患者さんの希望により使用した場合に限られておりまして、都立病院におきましては同意書で使用の意思を確認しております。このため、ご質問のように、患者さんの希望ではなく、症状が重い場合や感染管理上必要な場合など、治療上の必要性から使用した場合には個室使用料は徴収しておりません。

早坂委員

 この質疑を通して、今回の条例改正が都立病院の再編整備事業によって療養環境の向上を図るためのものであること、すなわち、既存病院の個室使用料の値上げではないことがわかりました。この三月にオープンした多摩総合医療センター、小児総合医療センターについては、多摩地域の医療機能を向上させる牽引車としての役割を、また、現在改修中の駒込病院については、都のがん医療の拠点病院としての役割を十分に発揮すること、そして都立病院については、都民から選ばれる病院として、医療機能を一層向上させるとともに、患者ニーズに的確にこたえ、アメニティーの充実にも努めていただくようお願いをいたします。