2011.02.25 : 平成23年度予算特別委員会
「高齢者の住まい」

早坂委員 

 次に、高齢者の住まいについて伺います。
 世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでいる我が国において、介護サービスなどを必要とする高齢者の住まいの確保が急務となっています。行政の高齢者福祉サービスとして設けられている特別養護老人ホームは、入居条件が厳しいものの入居費が比較的安く、待機者の増加が最大の課題です。申し込みから入居まで数年待ちとか、待機者が入居者と同じくらいいるともいわれています。
 そのような中、平成二十三年度の特別養護老人ホーム施設整備費補助の予算額は、前年度と比べ二倍近くふえています。また、都有地だけでなく区市町村が所有する土地を活用した整備事例がふえています。
 そこで、特別養護老人ホームの整備状況と、公有地の活用について伺います。

◯杉村福祉保健局長 

 平成二十三年度の特別養護老人ホーム整備予定は、新規分が十六カ所、継続分が十三カ所でございます。これによりまして、平成二十三年度末の特別養護老人ホームの定員は、三万八千四百六十名となる見込みでございます。
 また、都有地を初めとする公有地の活用を促進しており、特別養護老人ホームを都有地活用の対象に加えた平成十八年度から今年度までの着工分について見ますと、四十六カ所中、公有地を活用した整備は二十三カ所となっております。
 今後とも多様な手法を用いまして、特別養護老人ホームの整備を促進してまいります。

早坂委員

 自治体や社会福祉法人が設立する特別養護老人ホームは、設置費用の多くが補助金で賄われています。来年度の整備件数は今年度よりはふえていますが、待機者はいまだ多く、引き続き整備が必要です。
 そこで、多少お金を払っても今すぐに入れてもらいたい、あるいは、元気なうちから入って、もし介護が必要になっても最期までそこでみとってほしいと希望する高齢者の受け皿になっているのが、民間の有料老人ホームです。平成二十二年十一月現在の入居者数は、特別養護老人ホームが三万五千人、有料老人ホームは二万五千人ですが、伸び率から見ると、近くこれが逆転すると思われます。
 有料老人ホームは、入居の際の契約金に当たる入居一時金が一千万円を超えるところが全体の三分の一を占めています。また、入居一時金のほかに毎月の利用料がかかります。
 平成二十二年、昨年の第四回定例会の一般質問でも指摘したとおり、ごく短い期間で退所した場合でも入居一時金のほとんどを返さないなど、一部の悪質な業者が業界全体の健全な発展の妨げになっています。これに対処するには強制力を持った措置が必要だと考えます。ご見解を伺います。

◯杉村福祉保健局長 

 有料老人ホームにつきましては、入退去時などのトラブルが増加しており、これらに的確に対応するためには、これまでの老人福祉法、そして介護保険法に基づく指導に加えまして、消費者契約の観点からの取り組みが必要であると考えております。
 このため、都は、消費者に一方的に不利な契約を押しつけるなど、事業者の不当行為に対しまして、改善の申し入れや訴訟を提起できる適格消費者団体との間で相互連携及び協力に関する協定を本年三月に締結し、事業者へのさらなる指導強化に努めてまいります。

早坂委員

 ご答弁では、東京都は、被害を受けた高齢者本人にかわって訴訟を起こすことができる適格消費者団体との連携を深めるとのことであります。
 東京の高度経済成長を支え、長年納税者だった人たちがこれから安心して有料老人ホームに入れるよう、東京都はそのようなNPOに協力するにとどまらず、東京都自身が支援と規制を行うべきと考えます。