2008.10.24 : 平成19年度各会計決算特別委員会第1分科会(第4号) 本文
「地方税減免」

早坂委員

 民間をある政策目的の方向に誘導するために、行政が金銭的インセンティブを与えることがあります。その一つが補助金の支給であり、もう一つが税の減免であります。このうちの後者、すなわち東京都独自の地方税減免措置について伺います。
 まず、平成十九年度に実施された新築住宅、認証保育所、小規模非住宅用地、地域のケアつき住まい、民設公園の五つの減免措置について、平成十九年度分のそれぞれの減免額と対象件数を伺います

◯目黒税制部長

 五つの減免措置の平成十九年度分の減免額及び対象件数についてのお尋ねでございますけれども、まず新築住宅の減免額、減免額は対象税目のトータルの額で申し上げますが、約二百十二億円、対象件数は約二十万件でございます。
 同様に、認証保育所の減免額は約三千五百万円、対象件数は六十九件でございます。
 小規模非住宅用地の減免額は約百九十二億円、対象件数は約十九万件でございます。
 地域のケアつき住まいの減免額は約二千八百万円、対象件数は五十二件でございます。
 なお、民設公園につきましては、平成十八年度に創設されておりますが、今のところ実績はございません。

早坂委員

 今の減免措置でいうと、良質な住宅の供給、子育て支援、中小企業支援、高齢者・障害者福祉、緑の創出と都市防災といったどれもが東京都政の重要な政策目標に沿ったものであり、我が党が石原知事とともに都民のために推進してきたものです。 減免措置を行っている税目のうち、固定資産税、都市計画税、事業所税はいずれも市町村税であり、道府県税ではありません。しかしながら、東京都は特別区制度をとっているために、これらの税目は二十三区では都税とされています。ざっくりいえば、新築住宅と小規模非住宅用地に関して、東京都は一件当たり年額十万円の税の減免を行っているという計算になります。もとより、これだけで政策誘導が果たせるわけではなく、本質的な施策の展開があって、その補助的な役割として税の減免があると解釈すべきです。
 平成二十年第三定例会では、都市防災の観点から、昭和五十六年以前に建築されたいわゆる旧耐震基準の住宅を平成二十七年までに建てかえまたは耐震改修した場合に、固定資産税と都市計画税の減免を行う耐震化促進税制の創設が発表されました。これにより、年間七十億円程度の減税になると見込まれています。住宅の耐震化には、都民の意識啓発や施工者の技術、さらには木造密集地域解消に向けた防災まちづくりなど、幾つものなすべきことがあります。これらを行った上で、それをさらに補完するという意味で税の減免を行うわけです。
 東京都政の重要課題の解決に向け、今後も必要に応じて減免措置などの政策税制を積極的に実施していくべきと考えます。ご見解を伺います。

◯熊野主税局長

 政策税制についてお答え申し上げます。
 都政は、今さまざまな分野で重要課題が山積してございます。こういった課題への取り組みは、一義的にはそれぞれの事業を所管する局において行われるべきであると考えています。ただ一方で、課題の解決に向けて税制を活用することが非常に有効な場合、今お話にございましたインセンティブを与えるほか、有効な場合がございます。そういった場合には、私どもも都の課税自主権の範囲において、減免措置等の政策税制によって適切な誘導を図り、各局の事業を支援、補完していくことが、私ども歳入所管局である主税局の重要な使命の一つであると考えております。
 場合によっては、景気対策という大きなテーマの場合もございますし、また、今回耐震化の促進という、「十年後の東京」に掲げられた個別の重要課題もございます。そういったいろいろな目的に向けまして、その時々の社会経済情勢あるいは財政状況等を十分に踏まえまして、また、所管局とも連携をしつつ、先生方のご意見もお聞きしながら、真に有効な減免措置などの政策税制について積極的に取り組んでまいりたいと思っています。