2010.12.09 : 平成22年厚生委員会
「指定管理者の更新」

早坂委員 

 指定管理者の更新について伺います。
 平成十九年の地方自治法改正により導入された指定管理者制度は、それまで公共的団体などに制限されていた公の施設の管理について、民間の能力やノウハウを幅広く活用し、住民サービスの向上と施設の効率的な運営を図るため、広く事業者を募り、民間も含めた法人、その他の団体に管理を代行させることができるとしたものであります。
 例えば、図書館や体育館の運営を例に考えた場合、それをどうしても公務員が行わなければならないという必然性はなく、民間のさまざまな創意工夫により、利用者にとってより使いやすいものになれば、都民にとって有益なものだと思います。
 東京都においては、平成十八年度から指定管理者制度がスタートし、昨年、特命により指定管理者の指定を行った施設を除き、今回が初めての更新となります。我が党では、平成二十年に入札契約制度プロジェクトチームを立ち上げ、指定管理者制度における課題について議論を行い、指定管理施設において都民サービスを一層向上させていく取り組みや、指定管理者への適切な指導監督の重要性などについて提言してまいりました。指定管理者制度は、応募する民間の事業者同士がさまざまなアイデアやノウハウ、コストなどを競うことで、最も適切な事業者を選定するということが考え方の基本であります。
 しかし、福祉保健局の指定管理者制度では、幾つかの施設については一つの法人だけを選定対象として指名する、特命による選定を行っています。これによると、競争性は確保されないことになりますが、どのような理由からこのような選定を行っているのか伺います。

◯枦山事業調整担当部長 

 指定管理者の選定については、都民サービスの向上と施設の効率的な運営を目的として広く事業者を募る趣旨から公募を基本としており、特命は個々の事情により設定しております。
 福祉保健局においては、今後、民間移譲することを視野に入れている施設について、利用者に対する支援の安定性などの観点から、指定管理者を選定するときと、その後民間移譲をするときとで頻繁に運営事業者が交代することを避ける趣旨から公募によらず特命としております。

早坂委員

 今後、民間移譲を予定している施設について、処遇の安定性を確保するため、すなわちころころ運営事業者がかわると利用者に混乱が生じるような場合には、競争によらず現行指定管理者を特命するということでありました。
 では、一度入った事業者は、このような場合、無条件で更新されることになるんでしょうか。もし仮に特命した法人が、局の求める水準に達しないと判断される場合にはどうするのか伺います。

◯枦山事業調整担当部長 

 福祉保健局では、特命の場合も公募の場合と同様に、事業者に対し指定管理期間中の収支計画や人員計画、サービス実施計画などを記載した事業計画書や運営実績などの提出を求め、外部委員を含めた選定委員会において審査を行っております。また、選定委員会において、事業者からヒアリングを行うなど、公募の場合と同様の選定過程を経た上で候補者の選定を行うとともに、審査には職員の人材育成の仕組みや施設の質の向上、地域との連携に対する積極性など一定の水準を設けており、その水準に達しない場合は、指定管理者として選定しない仕組みとしております。

早坂委員

 特命の場合も、公募の場合と同じように適切な選定過程が確保されているというご答弁でありました。
 次に、公募対象の施設について伺います。
 福祉保健局が所管する公の施設は、医療施設や社会福祉施設など、個別法により運営主体が社会福祉法人などに限定されており、また提供するサービスも高齢者のケアや、障害者や児童の自立を支援するなど、専門的なノウハウを必要とすることから、指定管理者を広く募ってもたくさんの法人が応募して競争するということはなかなか難しいのではないかと思います。
 今回、指定管理者候補として選定されたのは、いずれも現行の指定管理者でありますが、それ以外の法人から応募があったのか。また、結果として同一法人が引き続き管理運営を担う場合においても、サービスのさらなる向上が期待できるのか、伺います。

◯枦山事業調整担当部長 

 本年六月から八月まで公募を行った結果、いずれの対象施設についても、応募法人は現行指定管理者のみでございました。応募が一法人であっても、外部委員を含めた選定委員会において、これまでの運営実績や今後のサービス実施計画などを総合的に審査し、一定の水準以上に達したものとして、次期指定管理者の候補として選定を行っております。現行指定管理者であっても、外部委員を含む選定委員会の審査を受けるに当たり、現在提供しているサービスやコストの面など改めて見直すこととなるため、今後の利用者サービスの向上に向けた一層の創意工夫や経営改善への取り組みが期待できるものと認識しております。

早坂委員

 近年、指定管理者が入った公の施設での重大事故が相次いでいます。一つだけ例を挙げて紹介すると、平成十八年に埼玉県ふじみ野市で指定管理者が入った市営プールで死亡事故がありました。流れるプールの吸水口に、防御さくがしっかり固定されておらず、小学生がそこに吸い込まれ死亡したという事件であります。そばにいた母親が子どもの手を握ったけれども、吸引力に負けてそのまま吸い込まれてしまったといわれています。指定管理者として入っていた会社は、市役所に無断でさらに下請会社に管理を委託していました。
 既に最高裁で結審していますが、ここで注目すべき点は、指定管理者のみならず市に対して厳しい監督責任が問われたということであります。判決では、市が業者に委託したということは、市みずからがその手でプールの安全性を完備することに加え、業者を使って安全性を確保する手段をも得たという点で、市は二重に責任を果たさなかったといっています。つまり指定管理者に任せたのだから、後の責任は全部そちらでという理屈は通らないということです。現在でも、一部には指定管理者バラ色論がまかり通っているようです。しかし、指定管理者や市場化テストなど、民間活力を導入する取り組みを進めるに当たっては、行政による評価、監督、つまりチェック機能を発揮することが極めて重要であります。市場化と公共関与はセットだということを、ここで改めて確認しておきたいと思います。
 今回、指定管理者の候補者として挙がっている法人は一定の水準をクリアしたものだということは理解しました。東京都は、施設の設置者として、指導監督責任をしっかり果たし、これからの指定管理期間において都民が安心して利用できる施設運営を確保すべく、引き続きさらなるサービス向上に取り組んでいただきますようお願いいたします。