2006.12.11 : 平成18年文教委員会 本文
「消費生活条例」

早坂委員 

 七日の我が党代表質問で高島政調会長が申し上げたように、消費者被害の拡大を防止するための行政処分と罰則を盛り込んだ条例改正案が、全国の自治体に先駆けて提案されました。社会的に弱い立場にある方々を標的にして懐を肥やすような卑劣で悪質な事業者に対しては、厳正に対処していかなければなりません。今回の条例改正により、東京都は法的にはこれまで以上に強い権限を行使できるようになります。特定商取引法の規制のすき間をついた、巧妙な手口も封殺することが可能になります。ぜひともこの条例を有効に使い、悪質事業者を市場から排除し、消費者が安心して生活でき、また、事業者が活発に事業活動を展開できる社会の実現のために寄与していただきたいと思います。
 その意味では、改正条例が成立し、施行された後は、いよいよ東京都の実力が試されることになります。全国の自治体が注視し、多くの都民が期待をしています。
 そこでまず、現状についてお伺いをいたします。
 インターネットを利用したIP電話会社近未来通信が、一説では四百億円もの巨額の資金を集めて自転車操業を続けたあげく、突然会社を閉じて大きな騒ぎになっています。警視庁が詐欺事件ではないかと捜査に入っているようですが、新聞報道では、マルチ商法の疑いありとして、東京都でも既に指導に入っていたという記事もありました。そこで、どのような対応をしていたか、お伺いをいたします。

◯宮川消費生活部長 

 近未来通信につきましては、消費者からの苦情、相談が夏ごろから急増したため、九月には本格調査を開始いたしました。その中で、まず国際プリペイドカード販売代理店契約につきましては、その取引形態が連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法であるのに、その重要事項の説明がなされていないなど、連鎖販売取引における禁止行為を規定する特定商取引法三十四条、三十七条に該当するおそれがあること、また、IP電話中継基地の契約書は、契約の解約に関し、消費者が不利になる条項を設けることを禁止する都の条例の二十五条、同規則八条に該当するおそれがあるため、その後、十月から十一月にかけまして役員をお呼びして、条例四十八条に基づく行政指導を行いました。その結果、十一月二十一日までに業務改善計画書を提出するとのお約束でしたけれども、十一月十七日以降、この役員とは連絡がとれなくなりました。大きな事件に発展する可能性も考えられたため、この間警視庁とも連絡をとり合いまして、都の調査により知り得た情報を速やかに提供しております。

早坂委員 

 身近なところで最近対応した事例があれば、ご説明をお願いいたします。

◯宮川消費生活部長 

 この十二月六日に、リフォーム業者一社、浄水器販売業者二社の悪質な訪問販売業者三社につきまして、特定商取引法七条に基づく指示処分及び条例四十八条に基づく勧告を行いました。
 事案をご紹介させていただきますと、浄水器の販売業者の二社のうちの一社は、水質検査をするふりをいたしまして、深夜にひとり暮らしの若者宅を訪問し、薬品を水道水にまぜて変色する様子を見せ、塩素が濃く体に悪いと虚偽の説明をいたしまして、一台約二十万円の浄水器を購入させておりました。この事業者に対する調査の過程では、なかなか姿を見せない事業者と接触を持つために、都合三日間職員が現場で張り込みを行いました。その結果、業務実態が明らかになり、証拠も押さえることができましたので、行政処分につながったものでございます。

早坂委員

 条例改正後は、改正された条例を最大限有効に活用し、これまで以上に積極的に取り組み、成果を上げていただきたいと思います。
 今後、事業者規制を強化していくに当たっての局長の決意を伺います。

◯渡辺生活文化部長 

 悪質事業者に対する規制強化に向けた都の取り組みにつきましては、東京都消費生活対策審議会に諮問を行いました本年五月の段階から、他の自治体やマスコミなどからも高い関心が寄せられておりました。私どもは、大変重い責任と使命を感じつつ、今回都議会第四回定例会に条例改正をお願いしたところでございます。ただいまも早坂委員から高い評価、積極的な評価をいただきまして、心を強くしているところでございます。
 この条例改正を認めていただいた後には、条例と法律とを効果的に適用することはもとより、消費生活相談や取引指導の実施において工夫を凝らしまして、可能な限り多くの悪質事業者を市場から排除することをもって都民の期待にこたえていきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。