2009.10.21 :平成20年度公営企業会計決算特別委員会第1分科会
「臨海副都心開発」

早坂委員 

 臨海地域開発事業会計の二十年度の決算を踏まえ、臨海副都心開発についてお伺いします。
 臨海副都心開発は、環境に配慮した未来型の都市を実現するため、平成元年から開発に着手し、東京の新しいまちづくりを進めてきているところであります。近年では「ゆりかもめ」の豊洲延伸、晴海通りの延伸など、交通アクセスも充実し、我が国を代表する企業が集積するとともに、すぐれた都市環境や豊かな水辺環境などを背景に、国の内外から数多くの来訪者が訪れる観光スポットとしても成長するまでに開発が進んでいます。
 この夏、等身大ガンダム像や、フジテレビのイベントお台場合衆国に、それぞれ四百万人を超える人が訪れたと承知をしております。外国からの観光客も多数訪れ、今やお台場は世界に通用する一大ブランドとなっています。これは、臨海副都心の持つ大きな魅力が注目されているそのあらわれであります。豊かな水辺の景観や魅力あふれる商業施設は、さまざまな人々を引きつけ、今や東京の傑出した都市拠点になっていると考えています。
 平成元年からスタートした臨海副都心開発も、平成二十七年度の完成目標に向け、今後より高いレベルの成長と今日的な課題を踏まえ、どのような開発を進めていくのか、都民の大きな期待と関心が寄せられているところであります。そこでまず、臨海副都心まちづくりにおけるこれまでのコンセプトと取り組みについて伺います。

〇松岡臨海開発部長

 臨海副都心は、職、住、学、遊の機能がバランスをとって複合した魅力的なまちづくりを目指し、業務、商業、居住、文化、レクリエーションなどの多様な機能を備えるとともに、地域と来訪者のさまざまな交流によるにぎわい豊かな都市の形成を進めております。
 委員ご指摘のとおり、「ゆりかもめ」の豊洲延伸など、臨海副都心における交通基盤の整備とともに、安全で安心なまちづくりを進めてきた結果、臨海副都心の就業者や観光客などを含む来訪者は、平成二十年には、過去最高の年間四千七百六十万人を記録しております。さらに、臨海副都心では、環境先進都市を目指しまして、自然と共生する環境保全型の都市づくりを進めております。これからも東京の活力を牽引していく役割を果たしてまいりますとともに、環境と調和した先駆的な都市モデルを世界に発信してまいります。

早坂委員 

 今、ご答弁いただいたように、臨海副都心の開発は、景観や環境などにも配慮したまちづくりをしていると承知をいたしました。また、この地区は、単なる箱物を建てるだけではなく、東京全体のモデルともなるような先進的なまちづくりの場所であり、それを支えるインフラ部分の整備も重要であります。特に、そこで暮らし働く人々にとって、機能的で安全で安定したインフラの整備は欠かすことのできないものであります。そこで、臨海副都心内におけるインフラの整備状況についてお伺いをいたします。

〇平田参事

 臨海副都心内では、機能的で安心・安全なまちづくりのためインフラ整備を行っております。道路につきましては、台場地区、青海地区及び有明南地区では完了しておりまして、今後有明北地区において、区画道路など、必要なインフラ整備を進めてまいります。
 また、都民生活及び都市活動を支える水道、電気、ガス等のライフラインにつきましては、安全で安定した供給処理システムを確立するため、共同溝を整備し、収容してきていますが、現在、青海地区北側では、平成二十四年度供用開始を目指し、共同溝を整備しております。この共同溝の完成により、臨海副都心内の共同溝のネットワークが形成され、安全で安心なまちを支える確固たるライフラインが確保されます。これらにより、臨海副都心地域内のインフラ整備はおおむね完成いたします。

早坂委員 

 臨海副都心のインフラは、おおむね整備されていると理解をいたしました。特に共同溝は、耐震性にすぐれ、安全・安心の基礎となる施設であります。これらのインフラ整備は、土地処分の推進の上でも重要な事業でありますから、ぜひとも着実に整備を行っていただきたいと思います。
 さて、このような基盤整備、そして企業や商業施設などを誘致する港湾局の努力が、現在の臨海副都心のにぎわいにつながっていると理解をしております。そこで平成二十年度の土地処分状況、また近年の特徴的な処分事例についてお伺いをいたします。

〇延與参事

 臨海副都心における平成二十年度の土地処分実績でございますが、売却七件、底地売却一件、所管がえ一件、地上権設定一件の計十件で、金額は約九百十三億六千万円でございます。面積につきましては、前年度の約二倍に当たる十ヘクタールで、これは過去五年間における最高の実績となっております。
 土地処分に当たりましては、臨海副都心の開発コンセプトに沿って公募を行っておりまして、平成二十年度の主な進出事業者といたしましては、メディアコンテンツと融合した業務・商業機能を青海地区北側に展開する青海Q特定目的会社、ビッグサイトのコンベンション機能を補完する複合施設を建設する有明南A特定目的会社、また、八十年以上の歴史を持ち、有明キャンパスを開校予定の武蔵野大学などが挙げられます。これらの施設は、平成二十三年度以降順次開業する予定となっております。
 臨海副都心全体の有償処分面積は、昨年度、有明北地区で区域編入いたしました土地など約二十四ヘクタールを新たに加えまして、約百六十三ヘクタールとなっておりますが、そのうち、平成二十一年三月三十一日現在で約九十八ヘクタールの処分が済み、進出事業者が決定した土地を含めますと、約百十二ヘクタール、約七〇%の土地処分が確定済みでございます。このように、土地処分につきましてはおおむね順調に進んでおります。

早坂委員 

 幅広い年齢層が集う広域型の業務・商業施設、ビジネス拠点となるコンベンション施設、大学キャンパスの進出など、職、住、学、遊の臨海副都心のコンセプトに沿った新たなにぎわいが創出される事業が展開されると理解をいたしました。このようにさまざまな機能を持つ施設の進出により、臨海副都心がバランスのとれたまちとして、ますます成熟していくものと期待しています。
 ところで、二十年度決算において、九百億円を超える土地処分収入があったとはいえ、一方で、昨年来の世界同時不況の影響は大きく、日本経済の先行きも依然厳しい状況にあります。不動産業界においても、オフィスの空室率の上昇など、先行き不透明な状況にあるといわざるを得ません。そこで、現在の不動産市況をどのように認識しているのか、またどのように対応していくのか伺います。

〇延與参事

 八月の都内の住宅着工戸数は、前年同月比で約四六%減少しておりまして、また、九月のオフィス空室率は、都心五区の平均で前年同月の約二倍に上昇するなど、委員ご指摘ございましたとおり、日本経済全体の先行きが不透明な中、不動産市況は依然として厳しいというふうに認識しております。
 一方、臨海副都心につきましては、都心に近接する広大な土地として希少であり、また道路等のアクセスも進み、豊かな水辺の環境にも恵まれておりまして、現在も、公募中の区画に関して進出を希望する事業者からの問い合わせをいただいておりまして、そのポテンシャルは高いというふうに考えております。
 厳しい経済状況ではありますが、臨海副都心のポテンシャルをアピールしながら、今後とも、経済環境や土地需要の動向を見きわめつつ、土地処分に着実に取り組んでまいります。

早坂委員 

 現下の不動産市況は、決して楽観できる状況ではありません。臨海副都心といえども、経済全体の動向とは決して無縁ではなく、その影響を当然受けることになります。当面この厳しい経済状況は続くと思われますが、臨海副都心のポテンシャルの高さを十分に生かし、また、不動産市況にアンテナを張りめぐらせ、着実な土地処分に取り組んでいただきたいと思います。
 開発開始から二十年を経て、臨海副都心は、商業、業務、文化、コンベンションなどの施設が集積したまちに育ち、成熟してきているところです。先ほどのご答弁にもあったように、インフラ整備も着実に進んでいます。臨海副都心開発は、東京全体の活力向上に極めて大きく貢献していると思います。経済の変動の中にあっても、グローバルで中長期的な視点から情勢を見据え、臨海副都心をすばらしいまちとして、また次世代に残る財産として育て上げるよう、平成二十七年度の臨海副都心開発総仕上げに向け、鋭意取り組んでいただくようお願いをいたします。