2007.12.12 : 平成19年第4回定例会(第18号) 本文
「東京オリンピック招致(その1)」

○議長(比留間敏夫君) 

 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十二番早坂義弘君。

〔二十二番早坂義弘君登壇〕

二十四番(早坂義弘君)

 なぜ東京はオリンピックに立候補したのか。それは、都民にとって利益があるからです。オリンピックは、たった二週間の開催でしかありませんが、それは単なるスポーツの祭典ではなく、開催国の発展にとって、時代を画する極めて大きな意義を持っています。
 昭和三十九年、東京オリンピックの開催を契機に新幹線ができ、首都高速道路ができ、そして環状七号線もできました。カラーテレビの普及やどぶ川の一掃など、どれをとっても今日の、四十年後の我が国の骨格部分がこのとき形成されました。
 そして、インフラ整備以上に大きな遺産として残ったものがあります。それは、戦後、奇跡の復興を遂げた我が国が、平和の象徴であるオリンピックを開催することで、名実ともに国際社会へ復帰したという国民全体の自信、高揚感、そして誇りであります。
 では、今日二〇一六年、東京オリンピックへの立候補は都民にとってどんな利益があるのか。その答えの幾つかは「十年後の東京」に書いてあります。
 かつて、ケネディは、国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国家のために何をできるかを問おうではないかと訴えました。
 オリンピックは、都市を進化させるための最大の起爆剤であり、国民に大きな夢を与えることを改めて確認した上で、私はケネディに倣い、あえて、こう問いかけたいと思います。オリンピックが東京のために何をしてくれるかでなく、東京がオリンピックのために何をできるだろうか。
 オリンピックは世界最高のスポーツの祭典ですから、端的にいえば、競技者に世界最高の競技環境を提供することが、その答えの第一です。このことは、各競技団体の意見を十分に取り入れ、かつ、我が国の技術力をもってすれば、ライバルの諸都市には決して負けません。莫大な費用をかけて派手に会場をしつらえるということではなく、質素で機能重視の高規格なものをつくることは、まさに我が国の得意とするところです。
 また、競技場のコンディションという狭い意味の競技環境にとどまらず、例えば世界的感染症から選手を守ることなど、広い意味での競技環境の整備についても同じです。つい先日発行されたミシュランガイドブックでは、東京は世界一の美食のまちという高い評価を受けました。また、ハリウッドスターが来日して一番感激するのは、おもしろいことに、トイレのウォッシュレットだそうです。つまり、競技場のコンディションと選手を取り巻く生活環境のどちらをとっても、東京は世界最高の競技環境をオリンピックに提供できること、これが第一の答えです。
 東京がオリンピックに対してできることの二つ目は、オリンピックの収益金の活用です。
 かつて、スラム街の映像で、一つのサッカーボールを中心に、子どもがだんごになって集まっている姿を見て、大変強い印象を受けました。あるいは、どんな戦争を行っている国でも、子どもたちは砲撃の合間を縫って遊びを探します。
 そこで、二〇一六年東京オリンピックでもたらされるであろう収益を、発展途上国や、戦争を行っている国々の子どもたちのスポーツ支援のために使うことを提案します。赤十字があらゆる戦地や途上国に乗り込んでいくように、オリンピックもそこに乗り込んで子どものスポーツを支援する、これはオリンピック憲章の崇高な理念である青少年の教育で世界平和をつくることにかない、二〇一六年東京大会が、オリンピックに貢献できる大きな一つだと考えます。
 三つ目の答えは、地球規模での環境問題の解決です。
 我が国は、従来から世界に最新技術を発信してきました。特に、省エネルギー技術は群を抜いています。一定のエネルギーでどれだけのGDPを生み出すかというエネルギー原単位ではヨーロッパの一・五倍、アメリカの二倍であり、世界一の効率を誇っています。
 地球全体の炭酸ガスを削減するには、世界のCO2の五%を排出する我が国が、みずからの排出量を削減するだけでなく、四カ国で世界の五〇%のCO2を排出する、アメリカ、中国、ロシア、インドの排出量削減のために我が国の技術を提供しないことには解決しません。
 東京オリンピックを、我が国の省エネルギー技術を全世界に発信する場であると位置づけることは、オリンピックに対する最大の貢献になろうかと思います。有形無形を問わず、それが都民の利益になるからこそ、東京はオリンピックに立候補しました。「オリンピックを日本に、二〇一六年!」では、東京がオリンピックに対して何をできるか、石原知事にお伺いをいたします。

○知事(石原慎太郎君)

 早坂義弘議員の一般質問にお答えいたします。
 オリンピックについてでありますが、早坂議員から健全な発想のご提言をいただきました。
 東京がオリンピックに対して何ができるかを示すことは、オリンピック招致をかち取る上でも重要なことだと思います。人と地球の可能性を追求し、今までにない新しいオリンピックを実現していきたいと考えております。
 大切なことの第一は、東京、日本が持つ世界最高の水準の技術の活用であります。アスリートが最高の力を発揮できるよう、また観客が競技を心から楽しめるよう、ユビキタスやロボットなど、科学技術の粋を集めた競技会場を整備してまいります。
 第二は、オリンピック開催を機に、新しい都市モデルを提案し、地球環境を再生することでもあります。世界で最も環境負荷の少ない都市を実現し、地球の健康を取り戻す具体的な道筋を世界に示していきたいと思っております。
 第三は、スポーツを通じて人々に夢と希望を与えることでありまして、国内はもとより、アジアやアフリカの子どもたちや青少年のスポーツ活動を支援する仕組みをつくり上げていきたいと思っております。
 東京から地球社会への贈り物という開催意義を高く掲げて、オリンピック・パラリンピックの開催を実現したいと思っております。