2008.03.14 : 平成20年度予算特別委員会(第5号) 本文
「東京オリンピック招致(その2)」

早坂委員

 次に、オリンピック招致について伺います。
 本年二〇〇八年八月八日午後八時八分、八並びのおめでたい時間に北京オリンピックの開会式がスタートします。その前の六月四日には、二〇一六年オリンピック大会の候補地が五都市に絞られるなど、いやが応にも本年がオリンピックの話題で持ち切りになることは間違いありません。私自身も、あらゆる会合でのスピーチに、二〇一六年東京オリンピック招致の意義を話しております。
 しかし、そこで最初に、そして必ず聞かれるのは、北京のすぐ後に同じアジアにオリンピックが来るはずはないのではという素朴な疑問です。まず、このことについてずばり答えることが、招致機運の盛り上げに必要ではないかと思います。ご見解を伺います。

◯荒川東京オリンピック招致本部長

 北京のすぐ後といいますか、次の次ということで八年後になるかと思うんですけれども、まずIOCには、開催都市につきまして五大陸を順番に回すというような方針あるいはルールはないということを申し上げておきたいと思います。現に二〇一二年に開催いたしますロンドン大会の八年前は、同じヨーロッパのアテネで開催されました。
 また、東京が出ております二〇一六年には、マドリードがロンドンの直後でありまして、やはり立候補しております。今度北米大陸を見ますと、一九六八年のメキシコシティー、七六年のモントリオール、八四年のロサンゼルスと、八年置きに開催されております。こういう状況でございますので、同じアジアで八年後だから来ないという心配はないのではないかというふうに思います。
 むしろ大事なことは、いかにIOC委員を引きつける魅力のあるオリンピックをアピールしていくかでございます。東京・日本が目指すオリンピック・パラリンピックは、アジアというよりも地球社会の未来のために人と人との連帯を高め、地球の可能性を最大限に追求した大会でございます。
 現在、立候補ファイルに向けて具体的な内容を詰めておりますけれども、こうした開催意義はIOC委員にきっと理解されるものと思います。今後、お話の趣旨も踏まえて招致活動を展開してまいります。

早坂委員

 八月の北京オリンピックに向けて、全世界を聖火リレーが通過します。我が国では、四月二十六日、長野県を通過する予定です。
 今からちょうど十年前の一九九八年、冬季長野オリンピックが開催されました。ここに、長野オリンピックに国内招致の段階から勝手連として協力した木田健二郎さんの手記があります。ご本人は信濃毎日新聞の営業マンで、かつて中学生のころ、猪谷千春選手の銀メダル獲得をラジオで聞いて以来、素朴にオリンピックが来ればいいなと思い続けてきた方です。すばらしい情熱を持って、長野オリンピック招致のために民間レベルで活動した内容がすべて書かれています。とても参考になると思われますので、幾つか紹介してみたいと思います。
 まずは、IOC委員に対するダイレクトメール作戦です。
 これがその四枚のはがきの拡大でございます。PTAや青年会議所の協力を得て、子どもたちの書いた英語やフランス語のメッセージを添えて、九十一人のIOC委員に五万通の絵はがきを出しました。単純計算で一人に五百枚以上の絵はがきが届いたことになります。
 効果は絶大で、立候補都市長野を事前調査に訪れたIOC委員は、両手をいっぱいに広げて、子どもたちからこんなに絵はがきが届いたと感激してくれたそうであります。
 はがきの種類は、コンテストで選ばれた子どもの絵が十二種類、葛飾北斎の浮世絵やコイのぼりの写真など、我が国の文化が十四種類、合計二十六種類の絵はがきをつくりました。
 今日ではデジタルカメラが普及しているので、それぞれ自分の絵を絵はがきにすることはたやすいし、東京でやる場合にはその方がいいと思います。自分で書いた絵はがきを先生や保護者と協力しながら、まずあて名を書く。そして英語、フランス語、中国語など、相手の国の言葉で簡単なメッセージを書く。当然、相手の国がどこにあって、どんな国なのかに話が及ぶでしょうから、その教育的効果ははかり知れないと思います。
 都内には、公立と私立を合わせて、小学生六十万人、中学生三十万人が在籍しています。IOC委員は百十五人。仮に都内の小中学生の半分が絵はがきを書くとすると、何と一人に三千九百枚のメッセージが届くことになります。
 絵はがきだけでなく、子どもたちの絵を使ったカレンダーも(パネルを示す)こちらはIOC委員に毎年送っていました。有名な一校一国運動も、長野がその始まりだそうです。その後のシドニーやソルトレークシティーでも、この運動は引き継がれています。
 次に紹介したいのは、いわゆる聖火リレーの実施です。
 これは国内招致の段階で実施されました。中心になったのは早起き野球連盟。県内の五つの地区から一カ月余りにわたってリレーされました。これがおもしろいのは、リレーする時間帯が早起き野球の開始時間の毎朝五時半から七時までということであります。連盟登録選手のほか、賛同するスポーツ団体や地域の大人から子どもまで参加がありました。県内を縦断したことで、県内各地の盛り上げにつながったそうであります。
 東京で行う場合には、東京マラソンの応募者が十五万人います。いろいろなやり方があると思いますが、ぜひその皆さんにも参加してもらったらいいと思います。
 開催地が長野に決定後、その間に開催されたバルセロナ夏季オリンピックとリレハンメル冬季オリンピックに合わせて、現地で子ども絵画展を実施しました。東京も、IOC委員が大勢来るような国際スポーツ大会あるいは国際会議の開催地で、その時期に合わせて、絵画展でも、あるいはジャパンウィークでも開いたらいいと思います。
 この手記には、世界各地でIOC委員が宿泊するホテルの新聞が何新聞かを事前に調べて、その宿泊の日に合わせて自分たち勝手連の広告を出したことなども紹介されています。
 長野県での民間レベルでの招致活動の事例をお聞きになり、どんなご感想を持たれたでしょうか、知事に伺います。

◯石原知事

 長野市民のオリンピックにかける一途な思いと旺盛な行動力がオリンピック招致に大いに貢献した事例として、大変興味深くお聞きしました。
 しかし、今の時代、この日本、特にぜいたくになった東京では、何があっても珍しくないという人が非常に多いのが残念であります。そういう中で、先月行われた東京マラソンでは、二百三十万人の沿道の応援やボランティアによって、東京がまさに一つになって大いに盛り上がりました。
 二〇一六年のオリンピック招致においても、都民、国民の自発的で力強いユニークな活動が巻き起こることを大変期待しております。

早坂委員

 各種行政機関などに、「オリンピックを日本に」の横断幕があちこち張り出されています。大いにやった方がいいと思いますが、今後さらに招致運動を進めていく上で必要なのは、参加意識だと思います。遠くで見ている応援団もいいですが、何か手伝ってもらうことで参加意識、帰属意識がより強まることになります。その意味で、昨年九月から実施し、短期間に百五十五万人を超える皆さんの賛同をいただいた署名活動は有益だったと思います。
 昨年十二月、東京都商店街連合会の協力を得て、都内の商店街に二万三千枚の招致フラッグが掲出されました。このうちの六分の一、三千七百枚は我が杉並区内に掲出されたものであります。期間を集中して、かつ、まとまった数のフラッグが出たことで、猛烈な勢いを感じ、大きなインパクトがありました。
 ただ、招致のキャンペーンは、これからさらに盛り上げていかなければならないにもかかわらず、掲出の期間が短く、寂しさも感じています。商店街は、人の集まる場所であり、招致キャンペーンの波及効果が大きいと思います。今後、商店街に対し、どのような協力のお願いをしていくのか伺います。
 オリンピック招致のキャンペーンは、ぜひとも皆がわくわくするような楽しいものを展開してほしいと思います。

◯荒川東京オリンピック招致本部長

 招致フラッグにつきましては、大変多くの商店街連合会や地域の商店街のご協力を得まして、昨年掲出をしていただきました。機運を盛り上げていく上で非常に効果的であったと思います。
 各商店街からは、ぜひ来年度も協力したい、次回はいつごろ実施するのかとの問い合わせも寄せられるなど、地域での盛り上がりを実感しております。
 ことし六月には立候補都市が決定されまして、五輪マークの使用も解禁になりますので、北京オリンピックなどの効果的な時期に合わせて、より多くの商店街にご協力いただけるよう準備を進めてまいります。

◯三宅委員長

 早坂義弘委員の発言は終わりました。(拍手)