2007.12.14 : 平成19年文教委員会 本文
「障害児教育(特別支援教育)その3」

早坂委員

 東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画について伺います。
 特別支援教育は、学校、保護者、支援を受けている関係機関との三者間での連携や特別支援学校と小中学校などの学校間の連携など、さまざまな関係諸機関との連携を図っていくことが重要であります。
 第一次実施計画では、連携体制を築くため、各区市町村の教育機関と福祉、保健などの機関が連携する特別支援プロジェクトのモデル事業を実施し、昨年度末に報告書が発表されました。
 その後の各区市町村における特別支援プロジェクトの取り組み状況について伺います。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 特別支援プロジェクトは、就学に向けての連携体制についてモデル事業を実施し、その成果についての報告書を都内の区市町村に配布し、周知を図ってきたところであります。
 これを受けて、十九年度は、清瀬市、町田市などがモデル事業を参考に、就学前支援などで連携支援体制を充実させてきた経緯があります。
 今後も、各区市における特別支援プロジェクトの事業が推進するよう、区市への情報提供など、推進を図ってまいりたいと思います。

早坂委員

 平成十六年の第一次実施計画策定後、障害者に関する法改正が行われました。十七年に発達障害者支援法、十八年には障害者自立支援法が施行され、障害者に対する支援体制の充実が図られてきました。
 今回発表された第二次実施計画では、障害者福祉施策における法改正も視野に入れ、第一次実施計画とは異なった、新しい関係諸機関との連携が盛り込まれております。
 そこでまず、第二次実施計画での新たな連携の基本的な考え方について伺います。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 障害者自立支援法の施行により、障害者に対する支援は、一人一人の障害に応じた個別の支援計画に基づき、区市町村が実施主体となって行うこととなっております。
 第二次実施計画では、特別支援教育において、障害のある児童生徒に対し、関係機関が連携して、乳幼児期から学校卒業までの成長段階に応じた支援について取り組むこととしております。
 具体的には、就学前及び卒業時における関係諸機関との連携を図ることといたしました。就学前においては、保健所、保育所、幼稚園などとの連携、また高等部卒業時においては、一般就労や福祉作業所などへの移行を円滑にするため、学校と関係諸機関との連携を図っていくこととしております。

早坂委員
 就学前における保育所、幼稚園との連携は、第二次実施計画で初めて示された計画であります。これはどのような背景で今回計画に入ったのか、伺います。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 学校教育法の一部改正を受け、本年度から、幼稚園、高等学校においても特別支援教育を行うこととなっております。
 これを受けまして、都教育委員会は、これまでの小学校、中学校に加え、高等学校、中等教育学校及び幼稚園、さらに保育所においても、該当する児童生徒及び幼児に対し、障害による学習上または生活上の困難を克服するための支援を行うための連携に取り組むことといたしております。

早坂委員

 保育所、幼稚園への支援についてですが、例えば幼稚園を考えると、東京都の場合、幼稚園のほとんどが私立幼稚園という現状があります。私立幼稚園と公立幼稚園との比率は現在どのようになっているのか、伺います。
〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 平成十八年度の学校基本調査によりますと、学校数では、国公私立全体で千九十五校、うち私立幼稚園が八百七十校、七九・五%、幼児数では、国公私立全体で十七万八千八百五十人、うち私立幼稚園が十六万三千百十人、九一・二%となっております。

早坂委員

 ただいまのご答弁にもありましたが、園児数でいえば九割以上が私立幼稚園に通っているという状況であります。 第二次実施計画での就学前における関係諸機関との連携についてですが、東京都教育委員会は、幼稚園への支援は具体的にどのような内容を計画しているのでしょうか。また、その支援対象には私立幼稚園への支援も当然含まれていると考えます。お伺いいたします。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 都教育委員会といたしましては、私立幼稚園も支援対象として考えております。
 具体的には、就学支援シートの利活用などの情報提供や幼稚園の教諭や保育所の保育士を対象とした特別支援教育に関する講習会を行うことなどの支援を考えております。
 なお、二十年度には関係者による検討委員会を発足し、連携内容の検討を行っていく予定でございます。

早坂委員

 私立幼稚園の所管は、私学助成の事業など生活文化スポーツ局の所管であると理解しています。今後、私立幼稚園への支援の仕方も、教育庁と生活文化スポーツ局の両局が所管するとなると、現在の体制の中では、教育庁ができる支援にはおのずと制約が出てくるかと思います。ご見解を伺います。
〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 二十年度に設置を予定している検討委員会には、医療や保健所、保育所を所管する福祉保健局や私立幼稚園を所管する生活文化スポーツ局の関係者も委員とすることを予定しております。
 検討委員会は、学齢期に向けて、乳幼児期から就学前までの情報や支援の内容を円滑につなげていくため、関係機関の連携体制を構築することを目指しております。

早坂委員

 保育所、幼稚園に対する新たな連携については、二十年度に検討委員会を立ち上げるということでありますが、既に第二次実施計画は公表、発表され、都民に広く周知されております。 今後、私立幼稚園の保護者や関係者などからは、東京都教育委員会が私立幼稚園への連携支援を始めてくれるといった期待感を持たれて、さまざまな問い合わせがあるのだろうと思います。今回、第二次実施計画で考えられている保育園、幼稚園との連携については、先ほど就学支援シートの利用、活用などの情報提供や特別支援コーディネーターによる講習会への参加といった内容のご答弁がありました。
 現実には、私立幼稚園や保育所にも発達障害の子どもたちが通園しております。そうした子どもたちへの具体的な支援についても、ぜひご検討をお願いいたします。
 今後、生活文化スポーツ局、福祉保健局とも連携を図っていかれるとのことですが、我が党としては、教育庁が主体となって臨んでいただきたいと思います。今後立ち上げる検討委員会では、団体などの意見も聴取しながら、ぜひ実効性のある新たな連携体制を確立していただきたいと思います。ご決意を伺います。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 特別支援教育の必要な幼児にとっては、早期からの発見や適切な指導が重要であり、そのことは保護者にとっても関心の高いことでございます。
 都教育委員会では、検討委員会を推進するに当たっては、幼児の育成にかかわる都の関係局を初め、関係団体との十分な調整を図りながら進めてまいる決意でございます。