2007.12.12 : 平成19年第4回定例会(第18号) 本文
「東京都美術館大改修」

早坂委員

 最後に、都立文化施設について伺います。
 上野の東京都美術館は八十年間に及ぶ歴史を有し、日展や院展など、広く全国から作品を募る公募展、また、新聞社やテレビ局などと共同して行う共催展の開催場所として、多くの都民、国民に親しまれてきました。
 しかしながら、築後三十年以上が経過し、改修の時期に来ています。総事業費百億円をかけて、平成二十二年度から二年間休館し、工事を行うことになっています。
 社会の変化に伴い、美術館に求められるニーズも多様化しています。利用者の声を十分に酌み取り、今後の具体的な設計に反映させていくべきであります。改修のチャンスを最大限に生かし、東京都美術館をさらに魅力的なものとしていくため、どのように改修を進めていくのか、伺います。
 本年一月、東京都美術館と同様の機能を持った国立新美術館が開館しました。強力なライバルを迎えたわけですが、リニューアル後においても、伝統と実績を生かし、今後も公募展会場としての機能はしっかりと継続していくべきと考えます。ご見解を伺います。
 ありがとうございました。(拍手)

〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)

 東京都美術館に関する二点の質問にお答えいたします。
 まず、東京都美術館の大規模改修についてでありますが、東京都美術館は、竣工以来三十年以上が経過しており、施設設備の深刻な老朽化への早急な対応が課題となっております。そこで、空調、電気等設備の全面更新を図ることといたしました。環境への負荷も考慮し、都民に親しまれている現在の建物を残しながら、二カ年かけての大規模改修を予定しております。
 また、ご指摘のとおり、美術館に求められるニーズは一層の快適さや楽しさなど多様化しており、利用者の声を反映させ、エスカレーターの設置やエレベーターの増設、また、一部の展示室について天井高を上げる工事や、レストランの複数整備などを行うことといたしました。
 今後の設計においても、利用者へのヒアリングを重ねて、美術館の魅力向上に努めてまいります。
 次に、東京都美術館の公募展会場としての機能についてでありますが、美術団体が主催する公募展は、これまで新人の登竜門として、また美術界のすそ野を拡大し、芸術文化を支えるインフラとしての役割を果たしてきました。
 東京都美術館は、長年にわたりこれらの美術団体に展覧会の場を提供し、日本の美術の発展に寄与してきました。今回の改修においても、多様な芸術文化活動の発表の場としての機能を引き続き担えるよう、公募展を開催する建物は、現在の構造を生かすこととしております。
 リニューアル開館後も、美術団体の意見を十分聞きながら、施設運営を行ってまいります。