明晴学園の卒業式
聴覚障害者(聾者=デフ)を対象にしたろう学校で、幼稚部・小学部・中学部の全校生徒72人で構成されている。
全員が聾者なので、卒業式は完全な無音で運営され、校歌や入退場の音楽は無く、スピーチは全て日本手話。
拍手は両手をヒラヒラさせる(音は出さない)。
会場では私にだけ手話通訳者が付いて、内容を教えて下さったという次第。
ところで手話には日本語対応手話と日本手話のふたつがある。
日本語対応手話とは、私たち健常者が使う日本語に、指文字を当てはめたもの。
「私・学校・行く」というように、文法が日本語と同じだ。
一方で日本手話とは、聾者同士が自然発生的に作り出した手話で、文法も異なる。
その違いを説明するのは難しいが「雨が強い」を日本対応手話なら「雨・強い」のふたつで表現するのに対して、日本手話は「雨」という指文字に強い手振りや暗い表情を加味することで「雨が強い」を表現する。
日本手話は直感的かつ情報量が多いといえるが、それを私たち健常者が身に付けるのはなかなか難しい。
ここ明晴学園は全国で唯一、日本手話で運営されているという学校だ。
児童生徒の知的レベルは高く、素晴らしいろう学校であることが良く感じられた。
聴覚障害者の発生割合から「千人の中から神さまに選ばれたひとり」という意味で、学園祭は千神祭と名付けられている。
これからも事あるたびに明晴学園を訪ねることを約束した。
