2009.03.18 : 平成21年文教委員会
「安全教育(その2)」

早坂委員 

 次に、安全教育について伺います。
 子どもたちは毎日の生活の中で、犯罪、交通事故、自然災害、さらにはインターネットや携帯電話などによる被害などさまざまな危険にさらされています。我が党はこれまで、これらの危険から子どもたちを守るため、防犯カメラの設置や防犯パトロールの実施など、子どもを守る環境づくりの観点からさまざまな施策を実現してきました。
 しかし、子どもたちの被害を防ぎ、安全な社会をつくるためには、守ってもらうだけの立場から、自分の身を守ること、さらには家族や友人、地域を守る立場にまで意識を高めていくことが重要です。そのためには、学校での安全教育の充実が必要だと考えます。
 私は、平成十九年第四回定例会の一般質問において、学校での安全教育を充実させるため、各学校で指導する内容を具体的に定めたいわゆる東京版安全指導基準を定めることを提案しました。これに対し教育長から、基本的指導事項を体系的に示した安全教育のプログラムの開発を進め、安全教育が体系的に行われるよう、各学校を支援するという力強い答弁をいただきました。その後、この取り組みが継続的に研究開発され、この三月に安全教育プログラムが完成したと承知をしております。
 そこで、この安全教育プログラムの具体的な内容について伺います。

〇高野指導部長 

 安全教育プログラムは、子どもたちに危険を予測し、回避する能力と他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育てるため、生活安全、交通安全、災害安全の三つの領域を関連づけまして総合的に扱った全国で初となる安全教育に関する指導資料集でございます。
 この安全教育プログラムは、理論編と実践編で構成されておりまして、理論編では、学校における安全教育の基本的な考え方や、これからの安全教育で子どもたちが身につけるべき能力などについて示しております。実践編では、幼稚園から高等学校までの発達段階に応じた指導内容、指導方法を示してございます。具体的には、生活安全として登下校の際の危険予測や危険回避の方法、交通安全として自転車の乗り方や加害者の責任、さらには災害安全といたしまして、地震から身を守る方法や災害時の避難所開設方法などの事例を掲載してございます。

早坂委員 

 全国で初めて防犯、防災、交通安全に関する内容を発達段階に応じて総合的に扱ったこの安全教育プログラムは、どのような特色があるのか伺います。

〇高野指導部長 

 安全教育プログラムの特色についてでございますけれども、三点ございまして、第一点は、安全指導の基準となる必ず指導する基本的事項を明確に示したことでございます。第二点は、その基本的事項を系統的、体系的な年間指導計画の例として示しているところでございます。また、三点目といたしまして、避難訓練などの定期的に行う安全指導と、日ごろ教員が子どもたちに一声をかける日常的な安全指導等を相互に関連させるなど、指導方法の改善を示しているところにございます。

早坂委員 

 幼稚園から高等学校までの成長に応じ、最低限これだけは教えるという基本的事項を定め、系統的に指導を続けていくことは大変すばらしいことだと思います。このたび開発されたこの安全教育プログラムが実際に各学校で有効に活用され、安全教育が充実していくことが重要です。
 そこで、今後、この安全教育プログラムを活用し、どのように安全教育を推進していくのか伺います。

〇高野指導部長 

 都内公立学校全校で安全教育が効果的に実施されるようにするために、安全教育プログラムを全教員に配布するとともに、学校の管理職、教員、区市町村教育委員会の指導主事を対象といたしまして説明会を開催して、内容の周知徹底を図る予定でございます。
 また、平成二十一年度、モデル校といたしまして、都内公立学校十二校を安全教育推進校に指定いたしまして、安全教育プログラムに基づく先進的な実践を行う予定でございます。
 さらに、これらの安全教育推進校での公開授業や安全教育に関するフォーラムを実施いたしまして、都内公立学校における安全教育を学校関係者はもとより、広く都民にもご理解いただき、都民と一体となった取り組みに広げてまいる所存でございます。

早坂委員 

 子どもたちが生きる社会は、安全で安心できる環境であることが我々すべての願いであり、その実現に向け、学校関係者、保護者、地域社会全体が一体となって取り組んでいくことが大切です。各学校が今回作成した安全教育プログラムに基づいた指導を実践することで安全教育を充実させ、かつ地域や関係機関との連携をより一層深めていただきたいと思います。
 子どもたちが安全に対する意識を高め、そしてその子どもたちが地域の安全に貢献できる大人になっていくことで、東京の安全に関する総合力が向上します。学校教育が安全な社会づくりの一端を担うべく、私も東京都議会議員として努力してまいります。