2008.10.20 : 平成19年度各会計決算特別委員会第1分科会(第3号) 本文
「アジア大都市ネットワーク21」

早坂委員

 石原知事が提唱してスタートしたアジア大都市ネットワーク21は、発足から七年目を迎えます。アジアの諸都市の単なる友好交流ではなく、例えば感染症対策や自動車排出ガス対策など、都市が抱える共通課題の解決に向けた共同事業を進めるというのがその内容です。各共同事業を提案した都市が幹事都市となり、他都市がみずからの課題に応じて参加都市となる仕組みは、大変実際的なものだと思います。
 こうしたアジア大都市ネットワーク21の共同事業をさらに進展させるためには、これまでの事業効果を検証しつつ、見直しを行っていくことが不可欠です。昨年マニラにおいて開催された総会では、これまでの共同事業の成果を振り返り、再評価が実施されました。
 そこで、その再評価の内容と今後の方向性について伺います。

◯猪熊外務部長

 アジア大都市ネットワーク21は、アジアの繁栄と発展を目指し、危機管理、環境対策、産業振興など、大都市共通の課題解決に向けた共同事業を推進しております。
 平成十三年度に発足後、七年目を迎えまして、全体としては着実な進展が見られますが、事業をより効果的なものとし、各都市の参加を一層促進するため、再評価を行いました。再評価では、すべての事業について、これまでの成果を検証し、問題点や課題を明らかにいたしました。
 これを踏まえ、例えばアジア感染症対策プロジェクトにおいて共同調査、研究に着手するなど、具体的な充実策をまとめるとともに、他方、見直しが必要な事業については改善策をまとめております。
 また、各都市が参加しやすい事業体系とするため、文化関係、人材育成関係の事業を統合し、事業数を十八から十二へと整理いたしました。
 さらに、今後、事業をより着実に推進するため、三年間を目途として中期計画を事業ごとに策定し、期間中の目標を明確にするとともに、期間終了後に改めて評価を行うこととしました。
 このような取り組みを通じ、共同事業の効果を一層高めていくことにより、アジアの大都市の連帯をより強固なものとし、アジア全体の発展に貢献してまいります。

早坂委員

 次に、アジア大都市ネットワーク21の共同事業の中で、石原知事が特に力を入れている事業であるアジア製の中小型ジェット旅客機の開発促進について伺います。 本年三月、三菱重工は、全日空からの発注を受け、初の国産ジェット旅客機MRJ、三菱リージョナルジェットの事業化を決定しました。MRJは、昭和四十七年に製造中止になったYS11以来、三十六年ぶりの国産旅客機として大きな期待を集めており、国は、政府専用機としての導入を検討しています。ちなみに、現在の政府専用機はボーイング社製で、客席は四百。今回のMRJの客席は七十から九十六。MRJの成功は、アジアの航空機産業の発展に大きく寄与するものと考えます。
 そこで、本プロジェクトのこれまでの成果と今後の方向性について伺います。

◯猪熊外務部長

 本共同事業は、アジア地域の航空需要の高い伸びに対応し、アジアの航空機産業の発展に寄与するとともに、アジアのアイデンティティーをより強固なものとするため、アジアの技術と能力を生かした中小型ジェット旅客機の開発、製造と就航の促進を目的としております。
 これまで東京都は、共同事業別会議などにより、百席前後の中小型旅客機開発の意義について国民の関心を高めるなど、機運の醸成に努めてまいりました。当初、国が主導し、三十から五十席で開発が開始されました三菱リージョナルジェット、いわゆるMRJが、この春、七十から九十席クラスの旅客機として事業化決定に至ったことにつきましても、東京都が百席前後のジェット旅客機の重要性を強くアピールしてきたことが一定の貢献をしたものと認識しております。
 今後は、MRJの事業化に当たりまして、アジアの生産参画を促進し、アジアで広く利用されることを目指すなど、アジアの連携を強化していくことが重要であると認識しております。
 今月初めに横浜で開催されました二〇〇八年国際航空宇宙展におきまして、都が特別セッションを主催し、アジアの航空機メーカーなどと日本の航空機関係者とが情報交換や交流を行う貴重な機会を提供しております。
 今後とも、アジアの技術と能力を生かした中小型ジェット旅客機の実現のため、アジアの連携を一層強化してまいります。

早坂委員

 次に、共同事業の一つである危機管理ネットワークについて伺います。 本年も、中国の四川大地震やミャンマーのサイクロンなど、アジア諸都市において大規模災害が発生しました。自然災害のみならず、テロなどのさまざまな危機に備え、アジア諸都市が過去の経験やノウハウを共有し、共同して危機管理に取り組むことが求められています。
 そこで、危機管理ネットワークの活動状況と成果について伺います。

◯猪熊外務部長

 アジアの大都市は、自然災害やテロなどさまざまな危機にさらされており、危機管理に関する各都市の関心は非常に高いものがございます。危機管理ネットワークには、アジネット、十一の全会員都市が参加いたしまして、毎年会議を行い、各都市の経験や最新の取り組みについて情報交換を行うとともに、インターネットを活用した災害発生時の情報連絡網を構築しております。
 参加都市に対しては、災害発生時の救助技術を向上させるための研修を実施し、人材育成を着実に進めております。
 また、昨年九月の都の総合防災訓練には台北市から、本年は、それに加え、ソウル特別市から救助隊が参加して合同訓練を行っております。
 こうした取り組みを継続的に行うことにより、危機管理ネットワークをより強固なものとし、アジア全体の危機管理能力の向上につなげていくことができるものと考えております。