2012.05.28 : 平成24年防災対策特別委員会
「下水道と液状化」

早坂委員 

 ところで、東日本大震災の被災地では多数の下水道管が被害を受け、トイレ不足や仮設トイレの使用に伴うし尿処理への対応など、公衆衛生上、大きな問題となりました。
 また、江戸川を挟んで東京都に隣接する千葉県浦安市では、地盤の液状化により、下水道管に土砂が詰まったり、マンホールが地上に浮き上がるという甚大な被害が発生しました。その結果、住民がトイレを使用できなかったり、道路の通行に支障が出る事態となりました。
 東京で大地震が発生した場合に備え、これまで取り組んできた下水道管の耐震化、液状化対策を加速させることが急務です。
 そこで、下水道管の耐震化、液状化対策の取り組み状況と今後の対策について伺います。

◯松田下水道局長

 下水道管の耐震化と液状化対策は、震災時における下水道機能や交通機能の確保などの観点から、優先度を定め、必要な対策を実施しております。
 まず、耐震化対策でございますが、下水道管とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更し、耐震性の向上を図るものでございます。昨年度までに、対象とする区部の避難所など約二千五百カ所のうち約八割を完了し、残りの箇所は、計画を二年前倒しし、来年度の完了を目指しております。
 次に、液状化対策でございますが、液状化の危険性の高い地域にある道路の交通機能を確保するために、マンホールの浮上を抑制する対策でございます。平成二十二年度までに緊急輸送道路約五百キロメートルで対策を完了いたしまして、さらに、昨年度から緊急輸送道路と避難所などを結ぶアクセス道路に対象を拡大し、実施しております。
 これらの対策は、今後、発災時に多くの人が集まるターミナル駅周辺や、国、都、区の庁舎など復旧拠点となる施設などへ対象を拡大してまいります。
 さらに、区部で実施しているこれらの対策の推進について、多摩地域の市町村に技術支援を行うことで、市町村における下水道管の耐震化のより一層の促進を支援してまいります。

早坂委員

 下水道管の耐震化、液状化対策は、前倒しで整備を進めているとのことでした。
 一方で、東日本大震災においては、例えば宮城県仙台市の南蒲生浄化センターの完全復旧には五年を要するとされています。下水道の震災復旧には大変な時間と労力がかかりますので、東京でも事前の十分な備えが求められます。
 そこで、東日本大震災を踏まえた下水道機能確保のための取り組みについて伺います。

◯松田下水道局長

 下水道の耐震化と液状化対策に加えまして、水再生センターやポンプ所などの施設の耐震化を進めております。
 具体的には、万が一にも通常の汚水処理ができなくなったとしても、未処理の下水を河川などに流出させないよう、ポンプ機能の確保や簡易的な処理や消毒などを行う施設、設備の耐震化を優先度を定めて計画的に実施してまいります。
 また、水再生センター間で汚泥、汚水を相互に送ることのできるネットワークを整備することで、バックアップ機能の確保に努めてまいります。
 さらに、都の防災計画において、発災時に避難所などに設置される仮設トイレから出るし尿は、区市町村が運搬し、当局の水再生センターなどで受け入れることとしており、区部に続き、多摩地域においても、昨年度までにすべての市町村との間で覚書の締結を完了させました。
 引き続き、下水道施設の耐震化や区市町村と連携した取り組みをより一層強化するなど着実に対策を進め、首都東京を支える必要不可欠な都市インフラとして、下水道機能の確保に万全を期してまいります。

早坂委員

 今後は、他県などとの広域連携も視野に入れ、防災力の強化により一層取り組むことを要望します。