2005.10.18 : 平成17年厚生委員会 本文
「東京DMAT」

早坂委員 

 救急災害医療についてお伺いいたします。
 都民が安心して暮らしていくためには、災害、事故、急病のときに、いつでも、どこでも確実に医療にアクセスできる体制を整備することは、行政の役割として最も重要な一つであると私は思います。東京都は世界的な大都市であり、東京にふさわしい取り組みが必要であります。
 そこで、まず、東京都が全国で初めて整備した災害医療派遣チーム、東京DMATの役割と整備の現状、さらには、発足以来これまでの出動事例は具体的にどのようなものか、お伺いいたします。

◯丸山医療政策部長 

 東京DMATの役割は、震災などの自然災害に加え、大規模な自動車事故や列車事故などの都市型災害において、専門的な研修を受けた医師、看護師などが被災現場に出動し、救命措置を行うことでございます。
 整備状況は、現在、十三の指定病院に約二百五十人の隊員が登録されてございます。
 昨年八月二日発足以来、十四回の出動実績がございます。具体的には、自動車の多重衝突事故、工事現場の爆発事故やガス中毒などで被災現場に出動し、負傷者に対する医療活動を行ってまいりました。このほかに、昨年十月の新潟中越地震の際にも、新潟の要請により被災地の震源地の小千谷市に隣接した小国町にて、診療所での医療支援及び避難所での医療活動、救護活動を行っております。

早坂委員

 病院にいかに早く運ぶかというだけでなく、被災現場に医療スタッフが出向き、現場で医療行為が開始されるという新しい発想での取り組みであると理解いたしました。今後もよりよい成果を出せるように充実していただきたいと思います。
 今のお答えでは十三病院で整備されているとのことでありましたが、NBC災害対応に対する備えはどうなっているでしょうか。また、今後DMATをどのように充実していくか、ご見解をお伺いいたします。

◯丸山医療政策部長 

 NBC災害への備えとしては、東京DMAT指定病院のうち六病院に対し、患者さんを受け入れるときに患者さんの汚染を除去するための除染テントと、医療従事者を汚染から守るための防護服を配備しております。今年度、さらに五病院に防護服を追加配備する予定でございます。
 また、東京DMATの充実でございますが、指定病院や隊員の拡充、隊員の医療救護活動の能力の維持向上のために研修などを実施し、今後とも東京DMATの充実に向けて取り組んでまいります。

早坂委員

 災害時の医療救護については、DMATの活動や災害拠点病院の整備が大切であります。また、一般病院や診療所が被災しないで機能を維持できることも重要だと思いますが、ご認識をお伺いいたします。

◯丸山医療政策部長

 都内の全病院及び救急診療所に対しまして、毎年、大規模地震発生時の対応措置の習熟などについて説明会を開催し、実践的訓練の推進に向けた普及啓発を行っております。
 なお、一般の病院や診療所の震災時の機能維持は大変重要と考えており、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。

早坂委員

 被災者を受け入れるための災害拠点病院が耐震化されているのはもちろん当然のことでありますけれども、災害時に診療を受け持つのは、一般病院も診療所も同じであります。数年前、災害時の避難所となる公立の小中学校の耐震性が五割程度しか確保されていないということが明らかになって、現在、急ピッチで小中学校に対する耐震補強工事が行われています。同様に、災害時に被災者が駆け込んでくるであろう病院や診療所が、行ってみたら、地震で倒壊していましたということでは、都民の安全は確保されません。その病院や診療所に耐震性が確保されているのか、まず、耐震診断や、その上で必要なところは耐震補強工事を行っていく必要があると考えます。これは都立病院であろうが、民間の病院、診療所であろうが、同じことです。いつ来てもおかしくはない大地震に備え、民間の診療機関に対しても、その公的役割にかんがみ、耐震化を大急ぎで進める施策を検討していただきたいと考えます。