2008.10.27 : 平成19年度各会計決算特別委員会第1分科会(第5号) 本文
「救命講習」

早坂委員

 まちで突然の事故や病気などの現場に遭遇したとき、救急隊が到着するまでの間、そばにいる人、バイスタンダーが人工呼吸や心臓マッサージなどの応急手当てを行うことが患者の救命につながることは、よく知られています。
 しかしながら、そのための訓練を受けたことがなければ、とっさに対応できず、恐らく何もできないだろうことは想像にかたくありません。
 最近では、AED、自動対外式除細動器が東京都内に一万三千台設置されているようですが、これを有効に活用するためにも、同じように最低限の訓練を受けた人がいることが求められます。
 つい先日、新聞などで、昨年一年間に実施された救命講習への参加者は全国で百五十七万人に上り、過去最高となったとの報道がありました。
 そこで、東京消防庁では、バイスタンダーの育成目標をどのように考えているのか、また現在までに救命講習を受講された方がどれぐらいいるのか、お伺いいたします。

◯野口救急部長

 平成十七年三月に当庁、日本赤十字社などで構成する東京都応急手当普及推進協議会において、平成二十二年度までに協議会参画機関などが相互に協力して、それまでの講習修了者を含め、十五歳から六十九歳までの東京都の昼間人口の二〇%に当たる二百二十四万人に対して、救命講習を実施することを目標として定めております。
 平成二十年九月までの当庁による救命講習修了者の累計は約百七十五万六千人です。

早坂委員

 一日も早く目標を達成することで、都民の安全とかけがえのない命が守られることにつながると思います。そのためには、より多くの方に応急手当ての必要性を理解していただき、救命講習を受講していただくことが必要です。 平成六年から、自動車の運転免許取得時に応急救護講習の受講が義務づけられています。平成十九年度でいうと、新規に免許を取得した人は全国で百三十七万人に上りますから、これだけの方が応急救護の講習を受けたことになります。
 また、消防が行う救命講習のほかに、日本赤十字社が行う救命講習もあります。
 しかしながら、都民の中には、仕事や家庭で忙しさの余りに受講する機会を逃してしまっている方も大勢いると思いますし、なかなか一人だけでは参加もしにくいと思います。
 そこで、東京消防庁では、より多くの方が救命講習に参加していただくために、どのような取り組みを行っているのか、伺います。

◯野口救急部長

 当庁では、都民に対してより多くの講習の機会を提供するため、東京救急協会や消防団員、災害時支援ボランティア、応急手当普及員などと連携し、都内全消防署での開催、要望する事業所、学校、町会、自治会施設での開催など、積極的に救命講習を実施しております。
 また、広く都民に講習案内を行うために、ホームページやポスター、東京都広報への掲載を行うとともに、インターネットによる申し込みや電子学習室を活用したネット併用講習を可能にするなど、都民の利便性の向上に努めているところです。
 さらに、都民からの要望にこたえて、視聴覚障害者に対する教材の開発、整備を行っており、今後とも普及体制の充実を図り、都民の受講促進に努めてまいります。

早坂委員

 私自身、かつて三時間の普通救命講習、八時間の上級救命講習、そして二十四時間の応急手当普及員講習のいずれも受講しました。しかしながら、そこで得た知識、技術は、何もしないでいると、すぐに忘れてしまうというのが実感です。救命講習修了時に交付される技能認定証は有効期間が三年間ですので、そのころまでには個人あてに再講習のお知らせをし、何度も繰り返し訓練を行うことが大切だという意識を喚起していくことが必要だと考えます。
 ある中学校では、卒業前の三年生を対象に救命講習を実施し、卒業証書とともにその認定証を生徒に渡す仕組みをとっています。こういった取り組みが都内全域に広がるよう働きかけを進めていただきたいと思います。
 初めて救命講習を受ける方をふやすことと、一度受けた方にその知識、技術を忘れないようにしていただくことのどちらもが大切です。私も東京都議会議員として、東京消防庁と連携し、都民の命を守るため、今後も努力してまいります。