2007.12.12 : 平成19年第4回定例会(第18号) 本文
「救急救命」

早坂委員

 次に、救急救命について伺います。
 東京消防庁管内における救急出動件数は、年間で七十万件に迫ろうとしています。出場件数の増加に伴い、救急車が現場に到着する時間も遅くなっています。
 昨年の救急車の平均現場到着時間は六分十秒ですが、これは十年前と比較すると五十秒以上も遅くなっており、一刻を争う患者の搬送にとって、大きな問題になっています。
 世論調査の結果によれば、救急車を呼んだ理由の中に、救急車で病院に行った方が優先的に診てくれると思ったというものや、通院の交通手段がなかったというものが含まれ、本来、救急車が必要でない場面での安易な利用が、出場件数をふやす理由になっています。それゆえ、明らかに緊急性がない場合については患者自身の力で通院をしてもらう、救急車の適正利用が必要ではないかと考えます。
 そこで、東京消防庁では、本年六月から救急搬送トリアージを始めています。これは、現場に到着した救急隊が緊急性がないと判断した患者に関しては搬送しないというものです。その実績について伺います。
 一方、救急車を呼んだ理由の中に、重症か軽症かの判断がつかなかった、夜間、休日で診察時間外であったというものがあります。これは、都民自身が救急車を呼ぶほどではないと考えていても、状況に対応できる相談窓口が不十分であったために、結果的に救急車を呼んだケースだと思われます。
 東京消防庁では、東京都医師会などの協力を得て、本年六月からシャープ七一一九という短縮電話番号により、医師や看護師が都民からの相談を受け付ける救急相談センターを開設しました。このセンターについて、今後さらなる制度の拡充が必要だと考えます。ご見解を伺います。

〔消防総監小林輝幸君登壇〕
○消防総監(小林輝幸君)
 救急に関する二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、救急搬送トリアージについてでありますが、東京消防庁では、真に救急車を必要とする都民に迅速に対応できるよう、救急現場において、医学的知見による基準に基づき、明らかに緊急性がないと判断したものにつきまして、傷病者自身での医療機関への受診を促し、同意が得られた場合には医療機関案内などを行った上で搬送しないこととする、救急搬送トリアージの試行を本年六月一日から実施しております。
 救急搬送トリアージの実績でございますが、十一月末日までに緊急性がないと判断した件数は百六十二件、うち同意を得て搬送しなかったものは百件であり、他の搬送したものにつきましても、すべて軽症でございました。
 今後は、試行状況を踏まえ、基準の検証や都民の理解を得まして、本格運用を目指してまいります。
 次に、東京消防庁救急相談センターの制度の充実についてでありますが、本年六月一日から十一月末日までの総受け付け件数は十二万六千七百九件で、そのうち医療機関案内は十一万三千四十二件、医師もしくは看護師が対応した救急相談は全体の約一割に当たる一万二千二百八十六件で、その相談内容は多岐にわたりますとともに、電話が集中するなど、かけ直しをお願いする場合も発生しております。
 今後は、こうした実態を踏まえまして、受け付け体制を充実しますとともに、東京都医師会、東京都福祉保健局などで構成する東京消防庁救急相談センター運営協議会におきまして、救急相談への対応の質をさらに高めてまいります。