2009.11.30 平成21年厚生委
「福祉のまちづくり」

早坂委員 

 交通機関の優先席は、高齢者や障害者、妊産婦など、安全上、車内で座ることが必要な人のためのものです。しかしながら、現実には優先席に座り、携帯電話のメールに興じる人、目の前にマタニティーマークをつけた妊婦の人が立っていても、席を譲らず寝たふりをする人など、優先席の意味を全く理解していないという人も数多く見かけます。
 このため本来優先されるべき人が利用できないということが頻繁に起きています。高齢者や妊産婦など、見た目でわかる人に対してもこのような状態であるので、外見からはわかりにくい内部障害をお持ちの方は、なおさら利用できない状況にあると想像されます。陳情者のような内部障害をお持ちの方は、優先席を譲ってもらえないだけではなく、優先席に座ると周囲から冷ややかな目で見られるなど、さまざまな誤解を受けることがあると伺っております。
 東京都が進める福祉のまちづくりは、条例改正などにより、これまでのバリアフリーから一歩進め、ユニバーサルデザインへと踏み出しております。高齢者、障害者、妊産婦、子ども、あるいは外国人など、すべての人が東京のまちを安全、快適に行き来できるようにすることがユニバーサルデザイン都市としての東京のあるべき姿ではないかと考えます。
 都民の身近なところで、こうした障害をお持ちの方への理解を促進することは、東京の福祉のまちづくりを進める上でも非常に大切であると考えます。ご見解を伺います。

〇永田生活福祉部長

 東京におきます福祉のまちづくりは、鉄道駅におけるエレベーター等の設置や、ノンステップバスの導入、そして、歩道の整備など、お話のように、ハード面でのバリアフリー化が進んできた状況がございます。その一方で、電車やバスなどの車内に目を転じますと、今お話がございましたように、優先席において、高齢者や障害者など、本来、優先されるべき方々が利用できずにいるという状況も散見されるところではございます。
 特に、内部に障害や疾患のある方々は、障害の部位や状態などが外見ではわかりにくいというようなところから、周囲の方々から障害や疾患があると認識されずに、お話にあったように、席を譲ってもらえない、優先席に座ると、周囲から冷ややかな目で見られるといったような誤解が生じるというふうにも伺ってございます。
 福祉のまちづくりは、段差解消などのハード整備面だけではなくて、こうした障害をお持ちの方々への理解促進などのソフト的な面への取り組みも不可欠であるというふうに考えてございます。

早坂委員 

 ユニバーサルデザインに基づく福祉のまちづくりは、ハード整備だけでなく、ソフト的取り組みも不可欠だということであります。
 都議会自民党としても、ソフト的取り組み、心のバリアフリーを推進する取り組みを、より一層進めるべきと認識しています。今後も東京都は、これに積極的に取り組んでいくべきであります。ご見解を伺います。

〇永田生活福祉部長

 都はこれまでも、広報紙やホームページ等を活用いたしまして、都民に対して、障害などに対する理解を深める取り組みを進めてまいりました。本年改正いたしました福祉のまちづくり条例は、ユニバーサルデザインの理念に基づくハード、ソフト一体的なまちづくりを進めていくものでございまして、障害をお持ちの方など、だれもが自由に移動でき、積極的に社会参加できるまちづくりを目指してございます。
 今後とも、障害者団体や事業者団体などの関係団体や、福祉のまちづくり推進協議会などの皆様方からのご意見も伺いながら、他者を思いやる優しい心の醸成など、ソフト的な面、とりわけ心のバリアフリー実現に向けて、都民に対するより一層の普及啓発に取り組んでまいります。