2008.02.15 : 平成20年文教委員会 本文
「私立高校への助成」

早坂委員

 私立高校に通わせている保護者の経済的負担軽減について伺います。
 東京の高校生三十万人のうち十七万人、半数以上の生徒が私立高校に通っています。これは、私立高校がそれぞれの建学の精神のもと、さまざまな特色ある教育を行っていることに引かれてのものだろうと思います。しかしながら、一方で、私立高校は都立高校に比べて学費が高いという事実があります。そこで、東京都は私立高校そのものに対して経常費補助を行うことと、所得の低い保護者に対して個別に学費補助を行うことの二つの方法で、私立高校に通わせている保護者の経済的負担軽減を図っています。
 順に伺います。
 まず、現在の都立高校と私立高校の授業料の差はどのくらいあるのか伺います。

◯小濱私学部長

 平成十九年度の都立高校の授業料は、年額で十一万五千二百円、一方、私立高校の平均授業料は四十一万二百三十円で、その差は二十九万五千三十円となっております。

早坂委員

 私立高校の保護者の授業料負担は、都立高校に比べ三・五倍、三十万円という大きな開きがあります。
 次に、私立高校そのものに対する経常費補助について伺います。
 これは、私立学校の教育条件の維持向上、学校経営の健全化、修学上の経済的負担軽減の三つを目的にした基幹的補助の意味合いを持っていると理解しています。
 では、この経常費補助額はどのようにして算出しているのか伺います。

◯小濱私学部長

 私立高校の経常費補助は、都内の公立学校経常費の決算値をもとに私立学校の標準的運営費を算出して、その二分の一を補助するものでございます。
 補助対象経費といたしましては、教職員の人件費、備品、図書等の教育研究にかかわる経費、光熱水費などでございまして、学級数、生徒数、教職員数などをもとに補助額を算定してございます。ただし、施設整備費はこれに含まれておりません。
 平成十八年度決算では、二百三十四校に対しまして約六百九億四千万円を補助しております。これを生徒一人当たりに換算いたしますと、三十五万四十五円となります。

早坂委員

 では、都立高校に対する東京都の財政支出はどのようなものか伺います。

◯小濱私学部長

 都立高校の平成十八年度の生徒一人当たりの学校運営経費は、百五万一千八百四十四円でございまして、授業料等の納付金十一万七千八十三円を差し引きますと、九十三万四千七百六十一円となります。

早坂委員

 つまり都内の高校生には、年間一人当たり、私立の場合、三十五万円、都立の場合、九十三万円の税金が東京都から投入されているということであります。東京都は、私立高校の経常費補助の充実に努めており、これにより保護者の経済的負担の軽減に一定の効果は上げていますが、それをもってしても、都立と私立の授業料の差は、最初に伺ったとおり三・五倍、三十万円と大きく、私立高校に子どもを通わせている親御さんの経済的負担は大変だと推察します。
 私立高校そのものに対する経常費補助の質疑はこれくらいにして、次に、所得の低い保護者に対する個別の学費補助について伺います。
 東京都は、私立高校等特別奨学金補助という個々の保護者の家計状況に応じた補助制度を設けています。
 その内容について伺います。

◯小濱私学部長

 私立高等学校等特別奨学金補助は、東京都私学財団が実施する授業料軽減助成事業に対する補助でございまして、保護者の経済的負担を軽減し、私立学校での修学を容易にすることを目的として、平均所得以下の保護者を対象とする事業でございます。
 所得に応じて補助単価を三段階に区分しておりまして、生活保護世帯には公私格差の三分の二を補助することを目標としております。現在の補助単価は、十八万円となっております。
 次に、住民税非課税、均等割のみの世帯には二分の一を補助目標としてございまして、現在の単価は十三万五千円となっております。
 次に、住民税一定基準以下の世帯には三分の一が目標で、現在の単価は九万一千円となっております。
 平成十九年度の予算は、この三段階合計で二万九千百二十五人を対象に総額三十億五百四十八万六千円を措置してございます。

早坂委員

 冒頭のご答弁にあった十九年度の授業料の公私差額である三十万円の三分の二というと二十万円、現在の単価は生活保護世帯では十八万円であり、公私差額の補助目標である三分の二には達していません。ほかの二区分についても、同じく目標に達していません。
 今後、目標を達成するためにどのようにしていくのか伺います。

◯小濱私学部長

 東京都では、平成十九年度に、先生申されましたように、今、補助単価を約一〇%上げたところ、十八万円にしたところでございます。
 しかしながら、ご指摘のように、十九年度の段階ではいまだに目標に達していないため、二十年度予算案でも増額に努めたところでございます。生保世帯を例にとりますと、二十年度予算案では一万七千円増額し、十九万七千円としたことで、公私格差の二十九万五千三十円の三分の二に達する予定でございます。同様に、住民税非課税、均等割のみの世帯では一万三千円を増額しまして十四万八千円に、一定基準以下の世帯では七千円を増額し、九万八千円としたところでございます。
 補助単価を設定するに当たっての考え方である公私格差に対する補助率、それぞれ二分の一、三分の一を達成する予定でございます。

早坂委員

 この制度は、保護者の所得の差によって進学先が制限されてしまう事態を避けるために、所得が低い世帯に対して、より安く、授業料の補助を行う点で有効な補助金であると思います。
 平成二十年度予算の補助単価の増額は、当初の知事原案では認められていませんでしたが、我が党からの要望を踏まえ、十九年度に引き続き、二年連続して復活したものであります。我が党の働きかけがこのような形で実を結んだことは、非常に喜ばしいことであります。
 都民に対して多様な教育機会を確保するために、私学振興は不可欠であります。そのためには、今後とも私立高校そのものに対して経常費補助を行うことと、所得の低い保護者に対して個別に学費補助を行うことの両者を充実させていくことが重要であります。
 東京都としても、都の重点事業である私学振興に引き続き積極的に取り組んでいただくようお願いをいたします。