2011.06.10 : 平成23年株式会社新銀行東京に関する特別委員会 本文
「新銀行東京の実質業務純益の黒字化」

早坂委員

 本日は、先日説明のあった新銀行東京の動向や平成二十二年度決算などについての質疑ということであります。いずれも特別委員会において議論すべき内容であるか疑問ではありますが、一点だけ確認をしたいと思います。
 先日、新銀行東京の平成二十二年度決算が発表され、開業以来初めて実質業務純益が黒字化したとのことでありました。
 平成二十年度に着手し、今回、実質業務純益が黒字化するにまで再建が進んだ最大の要因はどういったところにあるかお伺いいたします。

◯斎藤金融監理部長

 新銀行東京は、再建に着手以来、システム経費を初めとする営業経費の不断の見直しや預金コストの適正化など、大幅なコスト削減を行うとともに、過去の反省に立って与信審査や期中管理を徹底いたしまして、デフォルトや延滞、また新たな不良債権の発生の抑制に努め、まずは赤字という出血をとめる、このことに最大の努力を払ってまいりました。
 その一方で、コストとリスクを最適に管理し、適正な収益を上げるということにも努めてきたところでございます。融資残高を伸ばすとともに、有価証券などの運用業務を展開し、資金調達では機を見て低利外部調達をも活用していくなど、業務粗利益の向上に努めてまいりました。
 顧客への対応をきめ細やかに行い、経営面でのアドバイスによって融資先の倒産を回避させるなどにより毀損率を改善させ、その結果が貸倒引当金の戻り益となっております。
 こういった努力を重ねてきました結果、平成二十二年度決算では実質業務純益の黒字化までに至ったわけでございます。
 新銀行東京が過去の経営陣の時代に負った傷は極めて深いものがございます。そのため、これまでのかじ取りは容易ではなかったと私どもも思っております。しかし、現経営陣は銀行経営の全般にわたりその手腕を大いに発揮し、置かれた環境の中で最大限に努力をしております。
 今年度も当期利益五億円の黒字を目標としておりますが、その達成に向けて全力で取り組んでいただきたいと考えております。
 都といたしましては、引き続き新銀行東京の監視と支援に努めてまいります。

早坂委員

 新銀行東京が再建に着手して以来、今日までの道のりを見れば、二十一年度決算では当期利益が黒字となり、二十二年度決算ではこれまで課題としてきた銀行の本来的な収支に基づく損益が黒字化いたしました。
 ただいまの答弁にあったとおり、四百億円の追加出資以降、新銀行東京は不良債権の発生抑制やコストとリスクの最適な管理、顧客とのリレーションシップの強化などに懸命に取り組んでおり、それが決算という結果に的確にあらわれてきていると理解します。このことは、再建に向けて大きな意義を持つものであります。
 銀行の経営は、その時々の経済金融環境の中で、経営者の判断をもとに行われるべきものであります。新銀行東京は現在再建中であり、具体的な経営のかじ取りについては、金融のプロである経営者の判断に任せるべきであります。
 これまでも都議会の議論でも見られましたが、全体の状況抜きに細かい経営指標の一つ一つを殊さら取り上げてあれこれいうことは、銀行経営の本質を見誤ることになりかねません。
 新銀行東京の経営については、その取り組みをトータルで見てチェックをし、評価していくことが議会としての使命であります。我が党は、今後ともそうした考えで新銀行東京を見ていく考えであり、東京都並びに新銀行東京の経営陣には、再建に向けて一層の努力をお願いしたいと思います。
 最後に、株式会社新銀行東京に関する特別委員会について申し上げます。
 民主党が共産党とともに賛成して設置した本委員会は、これまでの質疑実績はわずか一度にすぎません。
 一方で、本会議や常任委員会では、その間も新銀行東京に関する質疑は幾度となく行われてきました。民主党もこうした場で質疑を行っており、当委員会が全くの形骸にすぎないことは明らかであります。
 こうした状況を踏まえれば、これまで我が党が主張してきたとおり、新銀行東京に関する質疑は常任委員会で行えば十分であります。したがって、本特別委員会を設置しておく必要は皆無であり、調査は終了すべきであります。