2005.10.23 : 平成17年度_公営企業会計決算特別委員会第1分科会(第2号) 本文
「都営地下鉄の資産活用」

早坂委員 

 資産の有効活用について伺います。
 人口減少社会の進行などを背景に、今後、地下鉄やバスなどの乗車料収入の大幅な伸びが期待できない中、駅施設や電車、バスの車体など、交通局が保有するあらゆる資産を対象に展開するいわゆる関連事業は、地下鉄事業や自動車事業などの本来事業の経営基盤の強化及び質の高いサービスの提供のために欠くことのできない事業だと考えます。
 交通局では、チャレンジ二〇〇四において、関連事業について安定的な収入を確保するため、経営資源を最大限に活用して関連事業を積極的に展開するとして、平成十六年度から資産運用部を新設し、関連事業を積極的に推進する体制を整え、これに取り組んでおられると承知をしております。
 そこで、平成十七年度決算における関連事業収入の状況についてお伺いをいたします。

◯松村資産運用部長 

 平成十七年度の関連事業収入は百六億二千三百万円で、対前年度三億一千百万円、三%の増となっております。
 その主な内訳は、広告料が四十五億五千七百万円、構内営業料が五億七千七百万円、土地建物等の賃貸料が五十一億一千二百万円でございます。

早坂委員

 関連事業収入のうち、広告料収入が四十五億五千万と、かなり大きな割合を占めているということですが、景気も回復してきたといわれる現在、広告需要は高まっていると思います。広告の世界は時代の変化とともに流れが速く、ニーズをとらえて適切に事業を進めていくことは大変なことだろうと思います。
 そこで、現在の交通広告の状況はどうなっているか、お伺いをいたします。

◯松村資産運用部長 

 平成十七年の全国の広告事業収入を対前年比で見ますと、新聞、雑誌などのいわゆるマス四媒体広告は減少傾向にあり、インターネット広告が五〇%以上の大幅な伸びを示しております。
 交通広告全体といたしましては約二%の伸びを示しており、都営交通におきましては、対前年度比で一・五%の伸びとなっております。
 内訳を見ますと、集客力の高い駅を中心として、駅張りポスターボードなどの駅構内広告が一定の成果を上げている反面、交通広告の主力媒体であります中づり広告がインターネットの普及による雑誌業界全体の不振の中で全体的に出稿が減っており、都営交通においても、対前年度比で二・五%の減となっており、厳しい側面もございます。

早坂委員

 インターネットの普及が中づり広告にも影響しているというご答弁でありました。
 それでは、落ち込みが厳しい中づり広告において、その活性化対策としてどのようなことを行っているか、お伺いをいたします。

◯松村資産運用部長 

 中づり広告につきましては、その車内広告としての媒体価値の維持向上を目的といたしまして、東京都の観光PRポスターなどの確保により、空き枠を極力なくすなどの取り組みをいたしてまいりました。
 そして、本年夏以降、新たに雑誌以外の広告主の需要を掘り起こすため、従来二日または三日単位のみであった掲出期間につきまして、新たに一週間及び一カ月単位を加えるとともに、複数枠をセットにして売り出す販売促進キャンペーンなどを実施しております。
 今後、これらの販売状況も見ながら、多様な対策を講じてまいります。

早坂委員

 交通局としても、中づり広告を取り巻く厳しい状況の中で努力していることはわかりましたが、さらなる努力が必要だろうと思います。
 一方、駅構内広告は一定の成果を上げているということでありますが、通行量の多い駅構内には、まだまだ壁や柱など広告に活用できるものがあると思います。ビジネス客あるいは学生が多く利用する駅など、それぞれの駅が持つ特性に着目して、柱や壁面のボードを活用したり、また、昨今人気のあるフリーペーパーを置くラックへのニーズが高いと聞きましたが、壁面の広告ボードやラックをセットで販売することで広告効果を高めることになるだろうとの思いがありますが、いかがでしょうか。

◯松村資産運用部長 

 新宿線新宿駅におきまして、これまで業務用案内のみを表示していました柱を改修いたしまして、柱を利用した電飾広告を今年度新たに設置いたしました。これにより、平年度ベースで約四千万円程度の収入を見込んでおります。
 また、先生がおっしゃられますように、駅の特性を生かして複数駅を組み合わせるとか、種々媒体を組み合わせるといった展開が必要だと考えております。
 ポスターボードにつきましては、集客力の高い駅を中心に複数の駅を組み合わせるなど、セット販売の実施をしてまいりましたが、今後は、ご指摘のように、フリーペーパー用ラックと看板や柱などを組み合わせるなど、媒体や複数駅をセットにした販売にも取り組んでまいります。
 広告展開につきまして、環境の変化やクライアントニーズを的確にとらえ、増収対策に取り組んでまいります。

早坂委員

 人口減少社会の到来で乗客数の大幅な伸びが期待できない状況の中、関連事業は創意と工夫によって収益を上げ得る分野であると考えます。引き続き新たなビジネスチャンスを生かせるよう、最大限の努力を払われるようお願いいたします。
 以上です。